受難の日はいたる

主は遠き<ruby><rb>水上</rb><rt>みなかみ</rt></ruby>にありて

氷のうへよりあまた光る十字すべらせ

女はみな街路に裸形となり

その素肌は黄金の林立する柱と化せり。

見よやわが十指は晶結し

背に<span data-tei-rend="bouten 傍点 right" style="text-emphasis-style: filled sesame; text-emphasis-position: over right">くりいむ</span>は瀧とながるるごとし

しきりに掌をもつて金屬の女を研ぎ

胴體をもつてちひさなる十字を追へば

樹木はいつさいに𢌞轉し

都は左にはげしく傾倒す。

ああ十字疾行する街路のうへ

そのするどさに日輪もさけびくるめき

群集をこえて落しきたるを感じ

いのり齒をくひしめ

受難の日のひくれがた

われつひに蛇のごとくなりて絶息す。