いもうとよ、
そのいぢらしき顏をあげ。
みよ兄は手に水桃をささげもち、
いつさんにきみがかたへにしたひよる、
この東京の日くれどき、
兄の戀魚は青らみてゆきて、
日毎にいたみしたたり、
いまいきもたえだえ、
あい子よ、
ふたり哀しき日のしたに、
ひとしれず草木の種を研ぐとても、
さびしきはげに我等の素脚ならずや。
ああいとけなきおんみよ。
―一九一四、五、三―
おさなきいもうとに
萩原 朔太郎
いもうとよ、
そのいぢらしき顏をあげ。
みよ兄は手に水桃をささげもち、
いつさんにきみがかたへにしたひよる、
この東京の日くれどき、
兄の戀魚は青らみてゆきて、
日毎にいたみしたたり、
いまいきもたえだえ、
あい子よ、
ふたり哀しき日のしたに、
ひとしれず草木の種を研ぐとても、
さびしきはげに我等の素脚ならずや。
ああいとけなきおんみよ。
―一九一四、五、三―
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c萩原 朔太郎「幼き妹に」(旧字旧仮名)、底本『萩原朔太郎全集 第三卷』筑摩書房、1977年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 053585_000067, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079