浮名をいとはば舟にのれ、 舟はながれゆく、 いま櫓櫂の音を絶え、 風も雨も晴れしあけぼのに、 よしあしぐさのみだるる渚をすぎ、 舟はすいすいと流れゆくなり。 ああ舟にのりて行かば、 くるほしきなみの亂れもここちよく、 ちのみごの夜びえする、 あやしきこゑもきかであるべきに、 ふるとせひとにかくれて、 わがはぐくみしいろぐさのはや涸れぬとぞ、 けふきけば薄葉に涙しをるる、 よしゑやし、 悲しきものはあだがたき、君ならなくに、 はやも我が世をのがれいでばや。