秋日行語
〔菊もうららに〕
萩原朔太郎
菊もうららに咲きいでたれど
我身は砂丘に寄りて悲しめり
さびしや海邊のおくつきに
路傍の草を手向くること
このわびしきたはむれに
ひとり樹木にすがりつき
たましひも消えよとむせびなく。
ああふるさとの永日に
少女子どものなつかしさ
たとしへもなきなつかしさ
やさしく指を眼にあてて
ももいろの秋の夕日をすかしみる
わが身の春は土にうもれて
空しく草木の根をひたせる涙。
ああかくてもこの故郷に育ちて
父母のめぐみ戀しやと歌ふなり。
しゅうじつこうご
萩原 朔太郎
秋日行語
〔菊もうららに〕
萩原朔太郎
菊もうららに咲きいでたれど
我身は砂丘に寄りて悲しめり
さびしや海邊のおくつきに
路傍の草を手向くること
このわびしきたはむれに
ひとり樹木にすがりつき
たましひも消えよとむせびなく。
ああふるさとの永日に
少女子どものなつかしさ
たとしへもなきなつかしさ
やさしく指を眼にあてて
ももいろの秋の夕日をすかしみる
わが身の春は土にうもれて
空しく草木の根をひたせる涙。
ああかくてもこの故郷に育ちて
父母のめぐみ戀しやと歌ふなり。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c萩原 朔太郎「秋日行語──〔菊もうららに〕」(旧字旧仮名)、底本『萩原朔太郎全集 第三卷』筑摩書房、1977年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 053570_000067, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079