ものごころ覺えそめたるわが性のうすらあかりは 春の夜の雪のごとくにしめやかにして ふきあげのほとりに咲けるなでしこの花にも似たり ああこのうるほひをもておん身の髮を濡らすべきか しからずはその手をこそ ふくらかなる白きお指にくちをあて やみがたき情愁の海にひたりつくさむ おん身よ なになればかくもわが肩によりすがり いつもいつもくさばなの吐息もてささやき給ふや このごろは涙しげく流れ出でて ひるもゆふべもやむことなし ああ友よ かくもいたいけなる我がものごころのもよほしに 秋もまぢかのひとむら時雨 さもさつさつとおとし來れり