實は成りぬ
草葉かげ
小やかに
赤うして
名も知らぬ
實は成りぬ
大空みれば
日は遠しや
輝輝たる夏の午さがり
野路に隱れて
唱ふもの
魔よ
名を蛇と呼ばれて
拗者の
呪ひ歌
節なれぬ
野に生ひて
光なき身の
運命悲しや
世を逆に
感じては
のろはれし
夏の日を
妖艷の
蠱物と
接吻交す蛇苺
へびいちご
萩原 朔太郎
實は成りぬ
草葉かげ
小やかに
赤うして
名も知らぬ
實は成りぬ
大空みれば
日は遠しや
輝輝たる夏の午さがり
野路に隱れて
唱ふもの
魔よ
名を蛇と呼ばれて
拗者の
呪ひ歌
節なれぬ
野に生ひて
光なき身の
運命悲しや
世を逆に
感じては
のろはれし
夏の日を
妖艷の
蠱物と
接吻交す蛇苺
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c萩原 朔太郎「蛇苺」(旧字旧仮名)、底本『萩原朔太郎全集 第三卷』筑摩書房、1977年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 053547_000067, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079