けふはえびのように悲しい
角やらひげやら
とげやら一杯生やしてゐるが
どれが悲しがつてゐるのか判らない。
ひげにたづねて見れば
おれではないといふ。
尖つたとげに聞いて見たら
わしでもないといふ。
それでは一体誰が悲しがつてゐるのか
誰に聞いてみても
さつぱり判らない。
生きてたたみを這うてゐるえせえび一疋。
からだじうが悲しいのだ。
おいたるえびのうた
室生 犀星
けふはえびのように悲しい
角やらひげやら
とげやら一杯生やしてゐるが
どれが悲しがつてゐるのか判らない。
ひげにたづねて見れば
おれではないといふ。
尖つたとげに聞いて見たら
わしでもないといふ。
それでは一体誰が悲しがつてゐるのか
誰に聞いてみても
さつぱり判らない。
生きてたたみを這うてゐるえせえび一疋。
からだじうが悲しいのだ。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c室生 犀星「老いたるえびのうた」(新字新仮名)、底本『蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ』講談社文芸文庫、講談社、1993年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 053495_001579, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079