私が占ひに観て貰つた時
消えぬホクロ
牧野信一
自分からすゝんで占ひを観て貰つたことはないが、十七八歳の頃祖母が突然小生の面上のほくろを気にしはぢめて、占ひ者に謀り、何れと何れとを抹殺すべきかと二三を指摘し、さて占者は小生を静座せしめて、はたとその面を睨めて物凄い声で気合ひをかけた。そして数回に亘つて、薬液体のものを、不吉と称するほくろの上に注いだが、一向に効目もなく、終ひにそのまゝ烏耶無耶のうちに中止となつたことがある。
わたしがうらないにみてもらったとき
牧野 信一
私が占ひに観て貰つた時
消えぬホクロ
牧野信一
自分からすゝんで占ひを観て貰つたことはないが、十七八歳の頃祖母が突然小生の面上のほくろを気にしはぢめて、占ひ者に謀り、何れと何れとを抹殺すべきかと二三を指摘し、さて占者は小生を静座せしめて、はたとその面を睨めて物凄い声で気合ひをかけた。そして数回に亘つて、薬液体のものを、不吉と称するほくろの上に注いだが、一向に効目もなく、終ひにそのまゝ烏耶無耶のうちに中止となつたことがある。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c牧野 信一「私が占ひに観て貰つた時──消えぬホクロ」(新字旧仮名)、底本『牧野信一全集第五巻』筑摩書房、2002年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 052823_000183, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079