「唖者にも妻がある、彼自身に許されたる夢がある。」
私は、いつか「環魚洞風景」といふ私小説の中で、唖子ノ一夢ヲ得ルガ如ク云々の諺を、そんな風に曲げて異人娘に答へた事がある。これが吾家の抱負では情けない、が質問に接した時それを思ひ出したので、答へとしては厭味で且つ見当はづれらしいが、誌して見た。
たいしょうじゅうごねんのぶんだんおよびげきだんについてかたる
牧野 信一
「唖者にも妻がある、彼自身に許されたる夢がある。」
私は、いつか「環魚洞風景」といふ私小説の中で、唖子ノ一夢ヲ得ルガ如ク云々の諺を、そんな風に曲げて異人娘に答へた事がある。これが吾家の抱負では情けない、が質問に接した時それを思ひ出したので、答へとしては厭味で且つ見当はづれらしいが、誌して見た。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c牧野 信一「大正十五年の文壇及び劇団に就て語る」(新字旧仮名)、底本『牧野信一全集第二巻』筑摩書房、2002年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 052750_000183, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079