Soranoha

手紙

てがみ

坂本 竜馬

一筆啓上仕候。

然ニ先日の御書中大芝居の一件、兼而(かねて)存居候所とや、実におもしろく能(よく)相わかり申候間、弥(いよいよ)憤発可レ仕奉レ存候。

其後於二長崎一も、上国の事種々心にかゝり候内、少〻存付候旨も在レ之候より、私し一身の存付ニ而手銃一千廷(ママ)買求、芸州蒸気船をかり入、本国(土佐)ニつみ廻さんと今日下の関まで参候所、不レ計も伊藤兄上(俊輔、後の博文)国より御かへり被レ成、御目かゝり候て、薩土及云云、且大久保が使者ニ来りし事迄承り申候より、急々本国をすくわん事を欲し、此所ニ止り拝顔を希ふにひまなく、残念出帆仕候小弟思ふに是よりかへり乾退助ニ引合置キ、夫より上国に出候て、後藤庄次郎を国(土佐)にかへすか、又は長崎へ出すかに可レ仕と存申候」先生の方ニハ御やくし申上候時勢云云の認(したため)もの御出来に相成居申候ハんと奉レ存候。其上此頃の上国の論は先生に御直(じき)ニうかゞい候得バ、はたして小弟の愚論と同一かとも奉レ存候得ども、何共(なんとも)筆には尽かね申候。彼是の所を以、心中御察可レ被レ遣候。猶後日の時を期し候。誠恐謹言。

九月廿日

龍馬

木圭先生

左右

底本 / Source edition

底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社
2003(平成15)年12月10日第1刷発行
2008(平成20)年9月19日第7刷発行
※底本手紙写真のキャプションに、(宮内庁 木戸家文書)とあります。
※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。
※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。
入力:Yanajin33
校正:Hanren
2010年10月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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リリース / Release
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TEI
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書誌 / Bibliography
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坂本 竜馬「手紙──107 慶応三年九月二十日 木戸孝允あて」(新字旧仮名)、底本『龍馬の手紙、宮地佐一郎』講談社学術文庫、講談社、2003年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 051966_000908, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079

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