Soranoha

手紙

てがみ

坂本 竜馬

春猪どの〱、

春猪どのよ〱。此頃ハあかみちやとおしろいにて、はけぬりこてぬり〱つぶしもし、つまづいたら、よこまちのくハしやのばゞあがついでかけ、こんぺいとふ(金平糖)のいがた(鋳型)に一日のあいだ御そふだんもふ(申)そふというくらいのことかへ。

をばてきのやんかんそふもこのごろハ、ちとふやり〱と心も定めかねをりハすまいかと思ふぞや。たいてのヿ(こと)なり候や、二町目へすてしめてもよかろふのふ。

おまへハ人から一歩もたして、をとこという男ハ皆にげだすによりて、きづかひもなし。又やつくと心もずいぶんたまかなれバ、何もきづかいハせぬ。

けれども、是からさきのしんふわい(心配)〱ちりとり(塵取)ににてもかきのけられず、かま(鎌)でもくわ(鍬)でもはらハれず、ふ(ず)いぶん〱せいだしてながいをとし(御年)ををく(送)りなよ。

私ももしも死ななんだらりや、四五年のうちにハかへるかも、露の命ハはかられず。

先〻御ぶじで、をくらしよ。

正月廿日夜

りよふより

春猪様

足下

底本 / Source edition

底本:「龍馬の手紙」宮地佐一郎、講談社学術文庫、講談社
2003(平成15)年12月10日第1刷発行
2008(平成20)年9月19日第7刷発行
※底本手紙の写真のキャプションに、(東京 松野尾章氏蔵)とあります。
※丸括弧付きの語句は、底本編集時に付け加えられたものです。
※直筆の手紙の折り返しに合わせた改行は、省いて入力しました。
入力:Yanajin33
校正:Hanren
2010年8月26日作成
2011年6月17日修正
青空文庫作成ファイル:
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リリース / Release
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TEI
/works/051785_000908/tei
プレーンテキスト / Plain text
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書誌 / Bibliography
/works/051785_000908/

坂本 竜馬「手紙──050 慶応三年一月二十日 姪春猪あて」(新字旧仮名)、底本『龍馬の手紙、宮地佐一郎』講談社学術文庫、講談社、2003年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 051785_000908, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079

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