神よ、私は俗人の<ruby><rb>奸策</rb><rt>かんさく</rt></ruby>ともない奸策が

いかに細き糸目もて編みなされるかを知つてをります。

神よ、しかしそれがよく編みなされてゐればゐる程、

破れる時には<ruby><rb>却</rb><rt>かへつ</rt></ruby>て速かに乱離することを知つてをります。

神よ、私は人の世の事象が

いかに微細に織られるかを心理的にも知つてをります。

しかし私はそれらのことを、

一も知らないかの如く生きてをります。

私は此所に立つてをります！……

私はもはや歌はうとも叫ばうとも

描かうとも説明しようとも致しません！

しかし、<ruby><rb>噫</rb><rt>ああ</rt></ruby>！　やがてお恵みが下ります時には、

やさしくうつくしい夜の歌と

<ruby><rb>櫂歌</rb><rt>かいうた</rt></ruby>とをうたはうと思つてをります……

（一九二九・一二・一二）