○先日徹夜をして翌晩は近頃にない安眠をした。その夜の夢にある岡の上に<ruby><rb>枝垂桜</rb><rt>しだれざくら</rt></ruby>が一面に咲いていてその枝が動くと赤い花びらが粉雪のように細かくなって降って来る。その下で美人と袖ふれ合うた夢を見た。病人の柄にもない艶な夢を見たものだ。

〔『ホトトギス』第二巻第四号　明治<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">32</span>・１・<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">10</span>〕