二階の窓に桜の葉が繁って、彼は中学を休んだ。曇った朝の空が葉のむかふにあった。雀が囀った。
怠けものはさきになって困るぞ、と誰も云はないが云ふ。それがちりちりと迫った。
彼は左官になって一生懸命高い梯子を登り降りする姿を夢みた。懐中時計の字のない部分は白かった。
正午前である。空がすっかり晴れて来た。
あおぞらのはしご
原 民喜
二階の窓に桜の葉が繁って、彼は中学を休んだ。曇った朝の空が葉のむかふにあった。雀が囀った。
怠けものはさきになって困るぞ、と誰も云はないが云ふ。それがちりちりと迫った。
彼は左官になって一生懸命高い梯子を登り降りする姿を夢みた。懐中時計の字のない部分は白かった。
正午前である。空がすっかり晴れて来た。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c原 民喜「青空の梯子」(新字旧仮名)、底本『普及版 原民喜全集第一巻』芳賀書店、1966年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 048437_000293, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079