啓蒙的描写論、そういう物だって必要である。一作に<ruby><rb>就</rb><rt>つい</rt></ruby>ての解剖的批評。そういう物だって必要ではある。しかし小酒井不木氏とか松本泰氏、江戸川乱歩氏、横溝正史氏、アーサー、リーヴ、チェスタトン、ビーストン、ウェルシーニンというような、代表的作家の人物批評は、<ruby><rb>是又</rb><rt>これまた</rt></ruby>大いに必要である。以上挙げた日本の作者等は（勿論その他にも著名な人はあるが）人物評論をされても<ruby><rb>可</rb><rt>よ</rt></ruby>い程、探偵小説界では働いている。どうだろう誰か此方面に、鍬を打ち込む者は無いか。作品を通して作者を見る――作者を通して作品を見る。これは両々ともなう<ruby><rb>可</rb><rt>べ</rt></ruby>きものだ。それにもかかわらず今日<ruby><rb>迄</rb><rt>まで</rt></ruby>、よい作者論が出ていない。いささか不満の点である。