ペン先がインキにこう言いました。
「お前位イヤなものはない。私がいくら金の衣服を着ていても、お前はすぐに錆さして役に立たなくしてしまう。私はお前みたいなもの大嫌いさ」
インキはこう答えました。
「ペンは錆るのが役目じゃない。インキはなくなるのがつとめじゃない。一緒になって字を書くのが役目さ。錆るのがイヤなら鉄に生まれて来ない方がいいじゃないか。インキがイヤなら何だってペンに生まれて来たんだえ」
ペンとインキ
夢野 久作、土原 耕作
ペン先がインキにこう言いました。
「お前位イヤなものはない。私がいくら金の衣服を着ていても、お前はすぐに錆さして役に立たなくしてしまう。私はお前みたいなもの大嫌いさ」
インキはこう答えました。
「ペンは錆るのが役目じゃない。インキはなくなるのがつとめじゃない。一緒になって字を書くのが役目さ。錆るのがイヤなら鉄に生まれて来ない方がいいじゃないか。インキがイヤなら何だってペンに生まれて来たんだえ」
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c夢野 久作、土原 耕作「ペンとインキ」(新字新仮名)、底本『夢野久作全集7』三一書房、1971年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 046733_000096, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079