熊は月夜に声きいた。
どこか遠くでよんでゐた。
熊はむくりと起きて来た。
檻の鉄棒ひえてゐた。
熊は耳をばすましてた。
アイヌのやうな声だつた。
熊は故郷を思つてた。
落葉松林を思つてた。
熊はおゝんとほえてみた。
どこか遠くで、
こだました。
くま
新美 南吉
熊は月夜に声きいた。
どこか遠くでよんでゐた。
熊はむくりと起きて来た。
檻の鉄棒ひえてゐた。
熊は耳をばすましてた。
アイヌのやうな声だつた。
熊は故郷を思つてた。
落葉松林を思つてた。
熊はおゝんとほえてみた。
どこか遠くで、
こだました。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c新美 南吉「熊」(新字旧仮名)、底本『日本児童文学大系 第二八巻』ほるぷ出版、1978年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 045094_000121, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079