Soranoha

選者の言葉

せんじゃのことば

岸田 国士

選者の言葉

――第一回世界文学賞――

岸田國士

本年度の、すなはち、最初の「世界文学賞」を贈られるのが渡辺一夫氏の訳、ラブレエの「パンタグリュエル」(白水社刊行)ときまつた。ところで、年度内に出た書物は、「パンタグリュエル」であるが、それは氏の数年来続けてゐる仕事の後半部で、この機会に、前半「ガルガンチア」とを併せ、氏のラブレエの全訳等に対し、われわれは敬意を表すべきであるといふ意見に一致した。

本年はいろいろの立派な翻訳が出た。もちろんその間に単純な優劣をつけることなどできる筈もない。しかし、世界文学史に於ける紀念碑的なラブレエの名と、フランス本国に於てさへ現代語訳を必要とするその巨大な、類を絶した傑作と、かの豪快にして微妙なゴオル精神の味得者、篤学渡辺一夫氏とを並べてみて、なにはともあれ、この種の組合せはさうめつたに見られぬぞといふ考へを多くの人々に抱かせたのである。

「賞」といふ名目は、或は穏当でないかもしれぬ。だが、この「賞」はもとより「頌」に通じる。氏は君子なるが故に、笑つて受けられよ。

底本 / Source edition

底本:「岸田國士全集27」岩波書店
1991(平成3)年12月9日発行
底本の親本:「世界文学 第十三号」
1947(昭和22)年9月10日
初出:「世界文学 第十三号」
1947(昭和22)年9月10日
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2010年5月21日作成
2011年5月30日修正
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

この表示について / About this rendering

記録は下にリンクした署名済みの TEI ファイルです。このページはそれを読むための一つの形です。読みが複数ある箇所は一つだけを本文に示し、もう一方は語の title に残しています。 / The record is the signed TEI file linked below. This page is one way of reading it. Where the text has more than one reading, the page shows one of them and keeps the other on the word itself, in its title text.

リリース / Release
913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c
TEI
/works/044731_001154/tei
プレーンテキスト / Plain text
/works/044731_001154/plaintext
書誌 / Bibliography
/works/044731_001154/

岸田 国士「選者の言葉──――第一回世界文学賞――」(新字旧仮名)、底本『岸田國士全集27』岩波書店、1991年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 044731_001154, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079

引用のしかた / How to cite