鷲がその威風に似ず、低脳らしい金属性の声をたてた。
支那の聖人に似てゐる駱駝が、唇をふるはせながら子供にせんべいを貰つてゐる。彼女は、それを見て、やつぱり日向ぼつこをしてゐるときが一番好きだと云つた。
火食鳥は神主。駝鳥は DEMI-MONDAINE のなれの果て。
「さけい」といふ鳥の前で、彼女はまた、「農民ね」と呟いた。
眠つてゐる獅子の檻に近く、長髪の男が、しきりに、「怒れる獅子の図」を描いてゐた。
なまめかしきは黒豹。
熊と川獺は友だちにもちたくない。
あるひのどうぶつえん
岸田 国士
鷲がその威風に似ず、低脳らしい金属性の声をたてた。
支那の聖人に似てゐる駱駝が、唇をふるはせながら子供にせんべいを貰つてゐる。彼女は、それを見て、やつぱり日向ぼつこをしてゐるときが一番好きだと云つた。
火食鳥は神主。駝鳥は DEMI-MONDAINE のなれの果て。
「さけい」といふ鳥の前で、彼女はまた、「農民ね」と呟いた。
眠つてゐる獅子の檻に近く、長髪の男が、しきりに、「怒れる獅子の図」を描いてゐた。
なまめかしきは黒豹。
熊と川獺は友だちにもちたくない。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c岸田 国士「或る日の動物園」(新字旧仮名)、底本『岸田國士全集20』岩波書店、1990年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 044401_001154, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079