Soranoha

一つの灯

ひとつのともしび

宮本 百合子

学徒動員ということがはじまって学生が戦線にかり立てられはじめたころ、日本のファシズム権力は、そういう立場に立たされた若い人々自身およびその周囲の理性人の思索なり感情なり批判なりを公表されることを極度にきらった。大学新聞は廃刊させられるようになった。法政大学新聞もやがて同じ過程をたどったのだけれども法政大学新聞は最後まで出来る限り、思想の権利、発言の権利、理性の判断する権利を守ろうと努力していて一九三七・八・九年ごろ言論抑圧の困難とたたかいながら進歩的な執筆者を加えていた。わたしがあの時分どんなテーマについて書いたか覚えていないが、執筆をたのまれるたびに編集者の真面目な熱意に共感したものであった。日本の民主化が迎えるこれからのいく波瀾に向って法政大学新聞のその伝統が正しくうけつがれ、より活発に発展させられるようにと思う。

〔一九四八年十一月〕

底本 / Source edition

底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
1981(昭和56)年3月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第十五巻」河出書房
1953(昭和28)年1月発行
初出:「法政大学新聞」
1948(昭和23)年11月1日号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

この表示について / About this rendering

記録は下にリンクした署名済みの TEI ファイルです。このページはそれを読むための一つの形です。読みが複数ある箇所は一つだけを本文に示し、もう一方は語の title に残しています。 / The record is the signed TEI file linked below. This page is one way of reading it. Where the text has more than one reading, the page shows one of them and keeps the other on the word itself, in its title text.

リリース / Release
913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c
TEI
/works/004037_000311/tei
プレーンテキスト / Plain text
/works/004037_000311/plaintext
書誌 / Bibliography
/works/004037_000311/

宮本 百合子「一つの灯──私の書いた頃」(新字新仮名)、底本『宮本百合子全集 第十七巻』新日本出版社、1981年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 004037_000311, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079

引用のしかた / How to cite