細かい部分部分の記述については、もう一息と思われる所もないではないが、全体として見れば着実に、誠意をもって具体的に書かれ、心持よい印象を与えられた。
これまでの文学で、下級海員の生活を描いたものは、階級的な立場からあつかわれたものでも、とかく海の人間の心持の荒けずりでロマンチックな面だけを色濃く出そうとするような傾向があり、誇張があった。この作品は報告文学であるが、気持のそういう方面も健康に全体の中にふくめて書かれているし、応募作品中の佳作である。
〔一九三四年十一月〕
「だいさんしんせいまる」ごじつたんについて
宮本 百合子
細かい部分部分の記述については、もう一息と思われる所もないではないが、全体として見れば着実に、誠意をもって具体的に書かれ、心持よい印象を与えられた。
これまでの文学で、下級海員の生活を描いたものは、階級的な立場からあつかわれたものでも、とかく海の人間の心持の荒けずりでロマンチックな面だけを色濃く出そうとするような傾向があり、誇張があった。この作品は報告文学であるが、気持のそういう方面も健康に全体の中にふくめて書かれているし、応募作品中の佳作である。
〔一九三四年十一月〕
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c宮本 百合子「「第三新生丸」後日譚について」(新字新仮名)、底本『宮本百合子全集 第十七巻』新日本出版社、1981年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 003908_000311, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079