Soranoha

進むべき道

すすむべきみち

野呂 栄太郎

時代の第一線に立たんとする青年大衆はいかなる準備を必要とするか

質問(A) 貴下が、現在の職業にはいられた理由、もしくは動機

質問(B) 貴下関係の職業に進まんとする青年は、特にいかなる資格を必要とするか

質問(C) 貴下の職業で特に楽しいこと、特に苦しいことはいかなることか

A・植民地の一開拓者の子として生まれた私は、幼時から、一方では労働の尊さを、そして他方では資本の原始的蓄積のカラクリ、資本主義の制度の不合理をマザマザと見せつけられて育ちました。

後、ブルジョア大学に経済学を学ぶにいたり、ブルジョア経済学のタワイなさと大学教授の無気力、無能力に幻滅を感じた。

私は、マルクスの『資本論』をひもとくに及んで、始めて、長年の蒙を開かれ、そして自分の進むべき道はただ一つ――資本主義社会の転覆以外にはない、ということを知ったのです。

B・われわれの周囲におこる問題の解決を曖昧にせぬこと。

そしてその解決のためにはいかなる権威にも屈せぬことです。

そして、われわれは、マルクス主義・レーニン主義を体得することによってのみ真に確信ある行動をとることができます。

C・「特に楽しいことと特に苦しいこと」というような、特別なことはありません。

われらの日常は物質的にも、社会的にも苦しみそのものです。がしかし、この苦しみのうちにこそまたわれわれの楽しみがあるのです。

たしかに、われわれは、鎖以外に失う何ものも持たず、そして獲得すべき全世界を持っているのです。

――『サラリーマン』一九三一年一月号――

底本 / Source edition

底本:「野呂栄太郎全集 下巻」新日本出版社
1994(平成6)年12月5日初版発行
初出:「サラリーマン」
1931(昭和6)年1月号
※「植民地」というのは編集部によると「北海道」のこと。
入力:山田剛
校正:川向直樹
2004年6月27日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。

この表示について / About this rendering

記録は下にリンクした署名済みの TEI ファイルです。このページはそれを読むための一つの形です。読みが複数ある箇所は一つだけを本文に示し、もう一方は語の title に残しています。 / The record is the signed TEI file linked below. This page is one way of reading it. Where the text has more than one reading, the page shows one of them and keeps the other on the word itself, in its title text.

リリース / Release
913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c
TEI
/works/003063_000287/tei
プレーンテキスト / Plain text
/works/003063_000287/plaintext
書誌 / Bibliography
/works/003063_000287/

野呂 栄太郎「進むべき道」(新字新仮名)、底本『野呂栄太郎全集 下』新日本出版社、1994年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 003063_000287, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079

引用のしかた / How to cite