Soranoha

樹木とその葉

じゅもくとそのは

若山 牧水

生せいの歡びを感ずる時は、つまり自己を感ずる時だとおもふ。自己にぴつたりと逢着するか、或はしみじみと自己を噛み味つてゐる時かだらうとおもふ。

さういふ意味に於て私にとつては矢張り歌の出來る時がそれに當る樣である。それも、うまく出來て呉れる時である。

歌が思ふ樣に出來る時は萬事萬物すべてが無意味でなくなつて來る。自分を初め、自分の周圍に在るすべてがいきいきと生きて來る。自分を中心としてめい〱が光を放つてゐる樣な明るさを感ずる。自分を中心として全てが成り立つてゐる樣な力を感ずる。初めて、我此處に在り、といふ歡びが五體の中に湧いて來るのを感ずる。

底本 / Source edition

底本:「若山牧水全集 第七卷」雄鷄社
1958(昭和33)年11月30日発行
入力:柴 武志
校正:浅原庸子
2001年3月20日公開
2005年11月12日修正
青空文庫作成ファイル:
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リリース / Release
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書誌 / Bibliography
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若山 牧水「樹木とその葉──18 自己を感ずる時」(旧字旧仮名)、底本『若山牧水全集 第七卷』雄鷄社、1958年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 002621_000162, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079

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