MONICO ! MONICO ! TRÉS JOLIIE ! 今夜もモニコで飲み明そ。 派手な巴里に住みながら、 MONMARTORE に住みながら、 一人で寝るのも気が利かぬ。 おお、行く程に、さる程に、 人をば促る火の明り。 赤い嵐がそよそよと 恋に焦れて吹くやうな 扇の形の火の明り。 合せ鏡の中にある 曲れる、曲れる、梯子段、 一段のぼればよろよろと、 二段のぼれば恐らくは 生きて帰らぬ「夢」の塔。 二時を過ぎたる真夜中も、 此処は SABBAT のまつさかり。 土耳古、仏蘭西、西班牙、 意気な BASSE に CASTAGNETTE、 RYTHMES D'AMOUR' しよんがいな。 赤い裾の踊子、 あれ、まんまろく拡がれば 時を択ばぬ花が咲き、 黄金と、紫金と、銀の 虹をば飜すあの上衣。 そこの隅ではひそひそと ちょいと此間に一 BAISER。 見て見ぬ振のてれかくし、 前の杯を軽く取る 此処のみじめな VERLAINE とまどひしたか、UNE BEAUTÉ、 たとへ虚偽でも、浮気でも、 わたしの膝にのしかかり、 甘い煙草の口うつし、 どうして其れが憎からう。 霰、霰、真赤な霰、 カスタネツトの降るままに、 執つて、抱へて、引くままに、 吸ひつく様な、飛ぶ様な とろける様な一踊り。 (一九一二年三月七日の夜巴里にて)