まえがき

ここに訳出した『ルバイヤート』（四行詩）は、十九世紀のイギリス詩人フィツジェラルド Edward FitzGerald の名訳によって、欧米はもちろん、広く全世界にその名を知られるにいたった十一－十二世紀のペルシアの科学者、哲学者また詩人、オマル・ハイヤーム Omar Khayyām（'Umar Khaiyām）の作品である。

フィツジェラルドが、一八五九年にその翻訳を自費出版で初版わずかに二五〇部だけ印刷した時には、<ruby><rb>若干</rb><rt>じゃっかん</rt></ruby>を友人に分けて、残りはこれを印刷した本屋に一冊五シリングで売らせたのであったが、当時はいっこうに人気がなく、いくら値を下げても買手がつかないので、ついには一冊一ペニイの安値で古本屋の見切り本の箱の中にならべられる運命となった。出版してから三年ばかり後のこと、ラファエル前派の詩人ロゼッテイの二人の友人が、散歩の途次偶然、<ruby><rb>埃</rb><rt>ほこり</rt></ruby>に埋もれたこの珍しい本を発見して、彼にその話をした。ロゼッテイは同志の詩人スウィンバーンと一緒に<ruby><rb>件</rb><rt>くだん</rt></ruby>の店に出かけて行って、ちょっとその本を<ruby><rb>覗</rb><rt>のぞ</rt></ruby>いただけで直ちにその価値を認め、おのおの数冊ずつ買って帰った。翌日彼らは友人に贈るためになお数冊買うつもりでまたその店へ行ったが、店の者は前には一冊一ペニイだったのを今度は二ペンスだと言った。ロゼッテイは怒りと<ruby><rb>諧謔</rb><rt>かいぎゃく</rt></ruby>をまぜた抗議口調でその男に食ってかかったが、結局二倍の値段で少しばかり買って立ち去った。それから一、二週間後には残りの『ルバイヤート』の値段は一躍一ギニイにも<ruby><rb>跳</rb><rt>は</rt></ruby>ね上ったという。

このように数奇な運命をたどったフィツジェラルドの翻訳は、ラファエル前派の詩人たちの推称によってようやく識者の注目をひくにいたり、初版後九年を経た一八六八年に第二版、それから四年後の七二年に第三版、また七九年には最後の第四版が出版され、フィツジェラルドの死後『ルバイヤート』はますます広く読まれるにいたった。ことに十九世紀末から今世紀の初めにかけてオマル・ハイヤーム熱は一種の流行となって英米を<ruby><rb>風靡</rb><rt>ふうび</rt></ruby>し、その余波は大陸諸国にも及んだ。ロンドンやアメリカには『オマル・ハイヤーム・クラブ』が設立され、またパリでは彼の名が、酒場の看板にまで用いられるほどであった。フィツジェラルドの翻訳はいろいろの体裁で翻刻され、各国語に訳された。さらにまたフィツジェラルドのこの<ruby><rb>奔放</rb><rt>ほんぽう</rt></ruby>な韻文訳以外にも、英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、イタリイ語等への直接ペルシア語からの韻文や散文の訳が数多く試みられた。わが国でも、明治四十一年（一九〇八年）にはじめて<ruby><rb>蒲原有明</rb><rt>かんばらありあけ</rt></ruby>がフィツジェラルドの訳書中から六首を選んで重訳紹介して以来、今日までに多くの翻訳書が出た。今ではもうフィツジェラルドの名訳はそれ自身英文学のクラシックに列せられている。オマル・ハイヤームの名はこうして世界的なものとなった。

詩聖ゲーテはその有名な『西東詩集』の中で、人も知るごとく、ペルシア語の原文さえも引用して、古きイランの詩人たちを推称した。彼は言った――「ペルシア人は五世紀間の数多い詩人の中で、特筆に値いする詩人としてわずかに七人の名しか挙げないと言われている。しかし彼らが<ruby><rb>斥</rb><rt>しりぞ</rt></ruby>ける残余の詩人の中にさえも、私などよりは<ruby><rb>遙</rb><rt>はる</rt></ruby>かに<ruby><rb>傑</rb><rt>すぐ</rt></ruby>れた人々がたくさんいるのにちがいない」と。自負心の強いこの詩人にしてこの<ruby><rb>言</rb><rt>げん</rt></ruby>をなした、もって傾倒のほどが知られよう。だが彼の挙げた七人の詩人の中にはわがオマル・ハイヤームの名は含まれていない。ゲーテはオマルをも『ルバイヤート』をも知らなかったものと見える。ハイヤームの詩人としての名は昔も今もペルシアではすこぶる高い。だから<ruby><rb>田舎</rb><rt>いなか</rt></ruby>の農夫でもその詩の一首や二首は知っている。現代イラン人の書いた文学史にはオマルの名は八大詩人の中に数え上げられている。それにもかかわらず、彼の詩に盛られた思想が、狂信的なイスラム教（回教）と<ruby><rb>相容</rb><rt>あいい</rt></ruby>れないばかりか、これを<ruby><rb>冒涜</rb><rt>ぼうとく</rt></ruby>する性質さえ持っていたために、ペルシアにおけるイスラム教勢力が衰えた最近代にいたるまでは、文学史上でハイヤームの詩人的才能を<ruby><rb>讃</rb><rt>たた</rt></ruby>えた例はなかったもので、したがってヨーロッパのペルシア学者も、フィツジェラルドや彼にオマルを推称した友人の東洋学者以前には、あまり『ルバイヤート』に注意を払わなかった。そういうわけで、一八三二年に死んだゲーテとしてはフィツジェラルドの翻訳（一八五九年出版）に接する機会はもちろんなかったし、またそれ以前のドイツ語訳によってハイヤームを知るという機会もなかった。彼はまさに「私などよりは遙かに傑れた人々がたくさんいるのにちがいない」と予期したとおり、最も傑れた詩人の一人を逸したわけである。

自ら挙げた七人のペルシア詩人中の一人で、十四世紀に生きていたハーフェズのペシミズム溢れる抒情詩から、ゲーテは多大の影響を受けたと言われている。もしも彼にしてハーフェズの創作上の先師であったオマル・ハイヤームを知っていたならば、この東方に深く<ruby><rb>憧</rb><rt>あこが</rt></ruby>れた詩人の『西東詩集』には、さらに色濃いオマル的な懐疑の色調が加えられたかも知れない。

本書に収めた一四三首はペルシア語の原典から直接訳したもので、テクストにはオマルの原作として定評のあるものだけを厳選し、また最近のイランにおける新しい配列の仕方に従って、「解き得ぬ<ruby><rb>謎</rb><rt>なぞ</rt></ruby>」、「生きのなやみ」、「<ruby><rb>太初</rb><rt>はじめ</rt></ruby>のさだめ」、「<ruby><rb>万物流転</rb><rt>ばんぶつるてん</rt></ruby>」、「無常の車」、「ままよ、どうあろうと」、「むなしさよ」、「<ruby><rb>一瞬</rb><rt>ひととき</rt></ruby>をいかせ」の八部に分類した。もちろんハイヤームが最初の写本を友人に示した当時にはこのような配列順序にはよらなかったであろう。しかも彼自身の配列方法は今では不明であるし、普通の写本のようにイロハ順で漫然と並べるよりも、内容の類似点を<ruby><rb>捉</rb><rt>とら</rt></ruby>えたこの配列の方が遙かに合理的だと考える。各四行詩に附した番号はこの分類にはかかわりなく、全体に通ずる通し番号である。オマルのものかどうかなお多少疑いの余地あるものは冒頭の番号を<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（　）</span>で包んだ。で包んだ。他はすべて彼の作として異論がない。

はじめ、フィツジェラルドの英訳をテクストとした<ruby><rb>森亮</rb><rt>もりりょう</rt></ruby>氏の<ruby><rb>傑</rb><rt>すぐ</rt></ruby>れた訳業に啓発されて、全部<ruby><rb>有明</rb><rt>ありあけ</rt></ruby>調の文語体で翻訳したが（解説二、「ルバイヤートについて」の項参照）、その後<ruby><rb>佐藤春夫</rb><rt>さとうはるお</rt></ruby>氏のすすめにより口語体に改めた。同氏の御親切に対して深謝するものである。なお挿絵は<ruby><rb>小林孔</rb><rt>こばやしこう</rt></ruby>氏に負うところ大である。

昭和二十二年八月二十日

松戸にて　　　訳者

  


目次

まえがき

解き得ぬ<ruby><rb>謎</rb><rt>なぞ</rt></ruby>（<span data-tei-rend="yokogumi horizontal" style="writing-mode: horizontal-tb">1\-15</span>）

生きのなやみ（<span data-tei-rend="yokogumi horizontal" style="writing-mode: horizontal-tb">16\-25</span>）

<ruby><rb>太初</rb><rt>はじめ</rt></ruby>のさだめ（<span data-tei-rend="yokogumi horizontal" style="writing-mode: horizontal-tb">26\-34</span>）

<ruby><rb>万物流転</rb><rt>ばんぶつるてん</rt></ruby>（<span data-tei-rend="yokogumi horizontal" style="writing-mode: horizontal-tb">35\-56</span>）

無常の車（<span data-tei-rend="yokogumi horizontal" style="writing-mode: horizontal-tb">57\-73</span>）

ままよ、どうあろうと（<span data-tei-rend="yokogumi horizontal" style="writing-mode: horizontal-tb">74\-100</span>）

むなしさよ（<span data-tei-rend="yokogumi horizontal" style="writing-mode: horizontal-tb">101\-107</span>）

<ruby><rb>一瞬</rb><rt>ひととき</rt></ruby>をいかせ（<span data-tei-rend="yokogumi horizontal" style="writing-mode: horizontal-tb">108\-143</span>）

註

  


解き得ぬ<ruby><rb>謎</rb><rt>なぞ</rt></ruby>

  


１

チューリップのおもて、糸杉のあで姿よ、

わが面影のいかばかり<ruby><rb>麗</rb><rt>うるわ</rt></ruby>しかろうと、

なんのためにこうしてわれを久遠の絵師は

土のうてなになんか飾ったものだろう？

２

もともと無理やりつれ出された世界なんだ、

生きてなやみのほか得るところ何があったか？

今は、何のために<ruby><rb>来</rb><rt>きた</rt></ruby>り住みそして去るのやら

わかりもしないで、しぶしぶ世を去るのだ！

３

自分が来て宇宙になんの益があったか？

また行けばとて格別変化があったか？

いったい何のためにこうして来り去るのか、

この耳に説きあかしてくれた人があったか？

４

魂よ、<ruby><rb>謎</rb><rt>なぞ</rt></ruby>を解くことはお前には出来ない。

さかしい知者＊の立場になることは出来ない。

せめては酒と<ruby><rb>盃</rb><rt>さかずき</rt></ruby>でこの世に楽土をひらこう。

あの世でお前が楽土に行けるときまってはいない。

５

生きてこの世の理を知りつくした魂なら、

死してあの世の謎も解けたであろうか。

今おのが身にいて何もわからないお前に、

あした身をはなれて何がわかろうか？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（６）</span>

いつまで水の上に<ruby><rb>瓦</rb><rt>かわら</rt></ruby>を積んで＊おれようや！

仏教徒や拝火教徒の説にはもう<ruby><rb>飽</rb><rt>あ</rt></ruby>きはてた。

またの世に地獄があるなどと言うのは誰か？

誰か地獄から帰って来たとでも言うのか？

７

創世の神秘は君もわれも知らない。

その謎は君やわれには解けない。

何を言い合おうと幕の外のこと、

その幕がおりたらわれらは形もない。

８

この<ruby><rb>万象</rb><rt>ばんしょう</rt></ruby>の海ほど不思議なものはない、

誰ひとりそのみなもとをつきとめた人はない。

あてずっぽうにめいめい勝手なことは言ったが、

真相を明らかにすることは誰にも出来ない。

９

このたかどのを宿とするかの天体の群

こそは博士らの心になやみのたね

だが、心して見ればそれほどの天体でさえ

揺られてはしきりに頭を振る身の上。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">10</span>

われらが来たり行ったりするこの世の中、

それはおしまいもなし、はじめもなかった。

答えようとて誰にはっきり答えられよう――

われらはどこから来てどこへ行くやら？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">11</span>

造物主が万物の形をつくり出したそのとき、

なぜとじこめたのであろう、滅亡と不足の中に？

せっかく美しい形をこわすのがわからない、

もしまた美しくなかったらそれは誰の罪？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">12</span>

苦心して学徳をつみかさねた人たちは

「世の燈明＊」と仰がれて光りかがやきながら、

<ruby><rb>闇</rb><rt>やみ</rt></ruby>の夜にぼそぼそお<ruby><rb>伽</rb><rt>とぎ</rt></ruby>ばなしをしたばかりで、

夜も明けやらぬに<ruby><rb>早</rb><rt>は</rt></ruby>や燃えつきてしまった。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（13）</span>

この道を歩んで行った人たちは、ねえ<ruby><rb>酒姫</rb><rt>サーキイ</rt></ruby>＊、

もうあの誇らしい地のふところに<ruby><rb>臥</rb><rt>ふ</rt></ruby>したよ。

酒をのんで、おれの言うことをききたまえ――

あの人たちの言ったことはただの風だよ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（14）</span>

愚かしい者ども<ruby><rb>知恵</rb><rt>ちえ</rt></ruby>の結晶をもとめては

大空のめぐる中でくさぐさの論を立てた。

だが、ついに宇宙の謎には達せず、

しばしたわごとしてやがてねむりこけた！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">15</span>

<ruby><rb>綺羅星</rb><rt>きらぼし</rt></ruby>の空高くいる牛――金牛星、

地の底にはまた大地を<ruby><rb>担</rb><rt>にな</rt></ruby>う牛＊もいるし、

さあ、理性の目を開き二頭の牛の

上下にいる<ruby><rb>驢馬</rb><rt>ろば</rt></ruby>の一群を見るがよい。

  


生きのなやみ

  


<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">16</span>

今日こそわが青春はめぐって来た！

酒をのもうよ、それがこの身の幸だ。

たとえ苦くても、君、とがめるな。

苦いのが道理、それが自分の命だ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">17</span>

思いどおりになったなら来はしなかった。

思いどおりになるものなら<ruby><rb>誰</rb><rt>た</rt></ruby>が行くものか？

この<ruby><rb>荒家</rb><rt>あばらや</rt></ruby>に来ず、行かず、住まずだったら、

ああ、それこそどんなによかったろうか！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">18</span>

来ては行くだけでなんの<ruby><rb>甲斐</rb><rt>かい</rt></ruby>があろう？

この玉の緒の切れ目はいったいどこであろう？

罪もなく<ruby><rb>輪廻</rb><rt>りんね</rt></ruby>の<ruby><rb>環</rb><rt>わ</rt></ruby>の中につながれ、

身を燃やして<ruby><rb>灰</rb><rt>はい</rt></ruby>となる煙はどこであろう？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">19</span>

ああ、<ruby><rb>空</rb><rt>むな</rt></ruby>しくも<ruby><rb>齢</rb><rt>よわい</rt></ruby>をかさねたものよ、

いまに大空の<ruby><rb>利鎌</rb><rt>とがま</rt></ruby>が首を<ruby><rb>掻</rb><rt>か</rt></ruby>くよ。

いたましや、助けてくれ、この命を、

のぞみ一つかなわずに消えてしまうよ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（20）</span>

よい人と一生安らかにいたとて、

一生この世の<ruby><rb>栄耀</rb><rt>えよう</rt></ruby>をつくしたとて、

<ruby><rb>所詮</rb><rt>しょせん</rt></ruby>は旅出する身の上だもの、

すべて一場の夢さ、一生に何を見たとて。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">21</span>

歓楽もやがて思い出と消えようもの、

古き<ruby><rb>好</rb><rt>よしみ</rt></ruby>をつなぐに足るのは<ruby><rb>生</rb><rt>き</rt></ruby>の酒のみだよ。

酒の器にかけた手をしっかりと離すまい、

お前が消えたって<ruby><rb>盃</rb><rt>さかずき</rt></ruby>だけは残るよ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">22</span>

ああ、全く、休み場所でもあったらいいに、

この長旅に終点があったらいいに。

千万年をへたときに土の中から

草のように芽をふくのぞみがあったらいいに！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">23</span>

二つ戸口のこの宿にいることの<ruby><rb>効果</rb><rt>しるし</rt></ruby>は

心の痛みと命へのあきらめのみだ。

生の<ruby><rb>息吹</rb><rt>いぶ</rt></ruby>きを知らない者が<ruby><rb>羨</rb><rt>うらや</rt></ruby>ましい。

母から生まれなかった者こそ幸福だ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（24）</span>

地を固め天のめぐりをはじめたお前は

なんという痛恨を哀れな胸にあたえたのか？

紅玉の<ruby><rb>唇</rb><rt>くちびる</rt></ruby>や<ruby><rb>蘭麝</rb><rt>らんじゃ</rt></ruby>の<ruby><rb>黒髪</rb><rt>くろかみ</rt></ruby>をどれだけ

地の底の<ruby><rb>小筥</rb><rt>こばこ</rt></ruby>に入れたのか？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">25</span>

神のように宇宙が自由に出来たらよかったろうに、

そうしたらこんな宇宙は砕きすてたろうに。

何でも心のままになる自由な宇宙を

別に新しくつくり出したろうに。

  


<ruby><rb>太初</rb><rt>はじめ</rt></ruby>のさだめ

  


<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">26</span>

あることはみんな<ruby><rb>天</rb><rt>そら</rt></ruby>の書に記されて、

人の<ruby><rb>所業</rb><rt>しわざ</rt></ruby>を書き入れる筆もくたびれて＊、

さだめは<ruby><rb>太初</rb><rt>はじめ</rt></ruby>からすっかりさだまっているのに、

何になるかよ、悲しんだとてつとめたとて！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">27</span>

まかせぬものは昼と命の短さ、

まかせぬものに心よせるな。

われも君も、人の<ruby><rb>掌</rb><rt>て</rt></ruby>の中の<ruby><rb>蝋</rb><rt>ろう</rt></ruby>に<ruby><rb>似</rb><rt>に</rt></ruby>て、

思いのままに<ruby><rb>弄</rb><rt>もてあそ</rt></ruby>ばれるばかりだ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">28</span>

嘆きのほかに何もない宇宙！　お前は、

追い立てるのになぜ連れて来たのか？

まだ来ぬ旅人も<ruby><rb>酌</rb><rt>く</rt></ruby>む酒の苦さを知ったら、

誰がこんな宿へなど来るものか！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">29</span>

おお、七と四＊の結果にすぎない者が、

七と四の中に<ruby><rb>始終</rb><rt>しじゅう</rt></ruby>もだえているのか？

千度ならず言うように酒をのむがいい、

一度行ったら二度と帰らぬ旅路だ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（30）</span>

土を型に入れてつくられた身なのだ、

あらましの罪けがれは土から来たのだ。

これ以上よくなれとて出来ない相談だ、

自分をこんな風につくった主が悪いのだ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（31）</span>

<ruby><rb>礼堂</rb><rt>マスジッド</rt></ruby>＊のともしび、<ruby><rb>火殿</rb><rt>ケネシト</rt></ruby>＊のけむりがなんだ。

天国の報い、地獄の責めがなんだ。

見よ、天の書を、創世の主は

あることはみんな<ruby><rb>初発</rb><rt>はつ</rt></ruby>の日に書いたんだ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（32）</span>

宇宙の真理は不可知なのに、なあ、

そんなに心を労してなんの<ruby><rb>甲斐</rb><rt>かい</rt></ruby>があるか？

身を天命にまかして心の悩みはすてよ、

ふりかかった筆のはこび＊はどうせ<ruby><rb>避</rb><rt>さ</rt></ruby>けられないや。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">33</span>

天に声してわが耳もとに<ruby><rb>囁</rb><rt>ささや</rt></ruby>くよう――

ひためぐるこのさだめを誰が知っていよう？

このめぐりが自由になるものなら、

われさきにその目まぐるしさを<ruby><rb>逃</rb><rt>のが</rt></ruby>れたろう。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">34</span>

善悪は人に生まれついた天性、

苦楽は各自あたえられた天命。

しかし天輪を<ruby><rb>恨</rb><rt>うら</rt></ruby>むな、理性の目に見れば、

かれもまたわれらとあわれは同じ。

  


<ruby><rb>万物流転</rb><rt>ばんぶつるてん</rt></ruby>

  


<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">35</span>

若き日の絵巻は早も閉じてしまった、

命の春はいつのまにか暮れてしまった。

青春という命の季節は、いつ来て

いつ去るともなしに、過ぎてしまった。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">36</span>

ああ、<ruby><rb>掌中</rb><rt>しょうちゅう</rt></ruby>の<ruby><rb>珠</rb><rt>たま</rt></ruby>も砕けて散ったか。

血まみれの<ruby><rb>肺腑</rb><rt>はいふ</rt></ruby>は落ちた、死魔の足下。

あの世から帰った人はなし、きく<ruby><rb>由</rb><rt>よし</rt></ruby>もない――

世の旅人はどこへ行ったか、どうなったか？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">37</span>

幼い頃には師について学んだもの、

長じては自ら学識を誇ったもの。

だが今にして胸に宿る辞世の言葉は――

水のごとくも来たり、風のごとくも去る身よ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">38</span>

同心の友はみな別れて去った、

死の枕べにつぎつぎ倒れていった。

命の<ruby><rb>宴</rb><rt>うたげ</rt></ruby>に酒盛りをしていたが、

ひと足さきに酔魔のとりことなった。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">39</span>

天輪よ、滅亡はお前の憎しみ、

無情はお前<ruby><rb>日頃</rb><rt>ひごろ</rt></ruby>のつとめ。

地軸よ、地軸よ、お前のふところの中にこそは

かぎりなくも秘められている尊い宝＊！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">40</span>

日のめぐりは博士の思いどおりにならない、

天宮など七つとも八つとも数えるがいい。

どうせ死ぬ命だし、一切の望みは失せる、

<ruby><rb>塚蟻</rb><rt>つかあり</rt></ruby>にでも野の<ruby><rb>狼</rb><rt>おおかみ</rt></ruby>にでも食われるがいい。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">41</span>

一滴の水だったものは海に注ぐ。

一握の<ruby><rb>塵</rb><rt>ちり</rt></ruby>だったものは土にかえる。

この世に来てまた立ち去るお前の姿は

一匹の<ruby><rb>蠅</rb><rt>はえ</rt></ruby>――風とともに来て風とともに去る。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（42）</span>

この幻の影が何であるかと言ったっても、

真相をそう簡単にはつくされぬ。

水面に現われた<ruby><rb>泡沫</rb><rt>ほうまつ</rt></ruby>のような形相は、

やがてまた水底へ<ruby><rb>行方</rb><rt>ゆくえ</rt></ruby>も知れず没する。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">43</span>

知は<ruby><rb>酒盃</rb><rt>しゅはい</rt></ruby>をほめたたえてやまず、

愛は百度もその<ruby><rb>額</rb><rt>ひたい</rt></ruby>に口づける。

だのに無情の<ruby><rb>陶器師</rb><rt>すえし</rt></ruby>は自らの手で焼いた

<ruby><rb>妙</rb><rt>たえ</rt></ruby>なる器を再び地上に投げつける。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">44</span>

せっかく立派な形に出来た酒盃なら、

<ruby><rb>毀</rb><rt>こわ</rt></ruby>すのをどこの酒のみが承知するものか？

形よい<ruby><rb>掌</rb><rt>て</rt></ruby>をつくってはまた毀すのは

誰のご<ruby><rb>機嫌</rb><rt>きげん</rt></ruby>とりで誰への<ruby><rb>嫉妬</rb><rt>しっと</rt></ruby>やら？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">45</span>

時はお前のため花の<ruby><rb>装</rb><rt>よそお</rt></ruby>いをこらしているのに、

道学者などの言うことなどに耳を傾けるものでない。

この<ruby><rb>野辺</rb><rt>のべ</rt></ruby>を人はかぎりなく通って行く、

摘むべき花は早く摘むがよい、身を摘まれぬうちに。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">46</span>

この永遠の旅路を人はただ歩み去るばかり、

帰って来て<ruby><rb>謎</rb><rt>なぞ</rt></ruby>をあかしてくれる人はない。

気をつけてこのはたごやに忘れものをするな、

出て行ったが最後二度と再び帰っては来れない。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">47</span>

酒をのめ、土の下には友もなく、またつれもない、

眠るばかりで、そこに一滴の酒もない。

気をつけて、気をつけて、この秘密　人には言うな――

チューリップひとたび<ruby><rb>萎</rb><rt>しぼ</rt></ruby>めば開かない。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（48）</span>

われは酒屋に一人の<ruby><rb>翁</rb><rt>おきな</rt></ruby>を見た。

先客の<ruby><rb>噂</rb><rt>うわさ</rt></ruby>をたずねたら彼は言った――

酒をのめ、みんな行ったきりで、

一人として帰っては来なかった。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">49</span>

幾山川を越えて来たこの旅路であった、

どこの地平のはてまでもめぐりめぐった。

だが、向うから誰一人来るのに会わず、

道はただ行く道、帰る旅人を見なかった。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">50</span>

われらは人形で人形使いは天さ。

それは<ruby><rb>比喩</rb><rt>ひゆ</rt></ruby>ではなくて現実なんだ。

この席で一くさり<ruby><rb>演技</rb><rt>わざ</rt></ruby>をすませば、

一つずつ無の<ruby><rb>手筥</rb><rt>てばこ</rt></ruby>に入れられるのさ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">51</span>

われらの後にも世は永遠につづくよ、ああ！

われらは影も形もなく消えるよ、ああ！

来なかったとてなんの不足があろう？

行くからとてなんの変りもないよ、ああ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">52</span>

土の<ruby><rb>褥</rb><rt>しとね</rt></ruby>の上に<ruby><rb>横</rb><rt>よこた</rt></ruby>わっている者、

大地の底にかくれて見えない者。

虚無の荒野をそぞろ見わたせば、

そこにはまだ来ない者と行った者だけだよ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">53</span>

人呼んで世界と言う古びた宿場は、

昼と夜との二色の休み場所だ。

ジャムシード＊らの<ruby><rb>後裔</rb><rt>こうえい</rt></ruby>はうたげに興じ、

バㇵラーム＊らはまた墓に眠るのだ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">54</span>

バㇵラームが酒盃を手にした<ruby><rb>宮居</rb><rt>みやい</rt></ruby>は

<ruby><rb>狐</rb><rt>きつね</rt></ruby>の巣、<ruby><rb>鹿</rb><rt>しか</rt></ruby>のすみかとなりはてた。

命のかぎり野驢を射たバㇵラームも、

野驢に踏みしだかれる身とはてた。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">55</span>

廃墟と化した城壁に<ruby><rb>烏</rb><rt>からす</rt></ruby>がとまり、

爪の間にケイカーウス＊の<ruby><rb>頭</rb><rt>こうべ</rt></ruby>をはさみ、

ああ、ああと、声ひとしきり上げてなく――

鈴の音＊も、<ruby><rb>太鼓</rb><rt>たいこ</rt></ruby>のひびきも、今はどこに？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">56</span>

天に<ruby><rb>聳</rb><rt>そび</rt></ruby>えて宮殿は立っていた。

ああ、そのむかし帝王が<ruby><rb>出御</rb><rt>しゅつぎょ</rt></ruby>の玉座、

名残りの<ruby><rb>円蓋</rb><rt>えんがい</rt></ruby>で<ruby><rb>数珠</rb><rt>じゅず</rt></ruby>かけ<ruby><rb>鳩</rb><rt>ばと</rt></ruby>が、

<ruby><rb>何処</rb><rt>クークー</rt></ruby>、<ruby><rb>何処</rb><rt>クークー</rt></ruby>とばかり<ruby><rb>啼</rb><rt>な</rt></ruby>いていた。

  


無常の車

  


<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">57</span>

君も、われも、やがて身と魂が分れよう。

<ruby><rb>塚</rb><rt>つか</rt></ruby>の上には一<ruby><rb>基</rb><rt>もと</rt></ruby>ずつの<ruby><rb>瓦</rb><rt>かわら</rt></ruby>が立とう。

そしてまたわれらの骨が<ruby><rb>朽</rb><rt>く</rt></ruby>ちたころ、

その土で新しい塚の瓦が焼かれよう。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（58）</span>

地の表にある一塊の土だっても、

かつては輝く日の<ruby><rb>面</rb><rt>おも</rt></ruby>、星の<ruby><rb>額</rb><rt>ひたい</rt></ruby>であったろう。

<ruby><rb>袖</rb><rt>そで</rt></ruby>の上の<ruby><rb>埃</rb><rt>ほこり</rt></ruby>を払うにも静かにしよう、

それとても花の<ruby><rb>乙女</rb><rt>おとめ</rt></ruby>の変え姿よ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">59</span>

<ruby><rb>人情</rb><rt>こころ</rt></ruby>知る老人よ、早く行って、

土ふるいの小童の手を戒めてやれ、

パルヴィーズ＊の目やケイコバード＊の頭を

なぜああ手あらにふるうのかえ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">60</span>

朝風に<ruby><rb>薔薇</rb><rt>ばら</rt></ruby>の<ruby><rb>蕾</rb><rt>つぼみ</rt></ruby>はほころび、

<ruby><rb>鶯</rb><rt>うぐいす</rt></ruby>も花の色香に<ruby><rb>酔</rb><rt>よ</rt></ruby>い<ruby><rb>心地</rb><rt>ごこち</rt></ruby>。

お前もしばしその下蔭で憩えよ。

そら、花は土から咲いて土に散る。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">61</span>

雲は垂れて草の葉末に涙ふる、

花の酒がなくてどうして生きておれる？

今日わが目をなぐさめるあの若草が

明日はまたわが身に生えて誰が見る？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">62</span>

<ruby><rb>新春</rb><rt>ノールーズ</rt></ruby>＊　雲はチューリップの面に涙、

さあ、早く<ruby><rb>盃</rb><rt>さかずき</rt></ruby>に酒をついでのまぬか。

いま君の目をたのします青草が

明日はまた君のなきがらからも生えるさ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">63</span>

川の岸べに生え<ruby><rb>出</rb><rt>い</rt></ruby>でたあの草の葉は

美女の<ruby><rb>唇</rb><rt>くちびる</rt></ruby>から芽を吹いた<ruby><rb>溜</rb><rt>た</rt></ruby>め<ruby><rb>息</rb><rt>いき</rt></ruby>か。

<ruby><rb>一茎</rb><rt>ひとくき</rt></ruby>の草でも<ruby><rb>蔑</rb><rt>さげす</rt></ruby>んで踏んではならぬ、

そのかみの乙女の身から咲いた花。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">64</span>

酒のもう、天日はわれらを滅ぼす、

君やわれの魂を奪う。

草の上に<ruby><rb>坐</rb><rt>すわ</rt></ruby>って<ruby><rb>耀</rb><rt>かがよ</rt></ruby>う酒をのもう、

どうせ土になったらあまたの草が生える！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（65）</span>

ありし日の<ruby><rb>宮居</rb><rt>みやい</rt></ruby>の場所で<ruby><rb>或</rb><rt>あ</rt></ruby>る男が、

土を両足で踏みつけた。

土は声なき声上げて男に言った――

待てよ、お前も踏まれるのさ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">66</span>

よき人よ、盃と<ruby><rb>酒壺</rb><rt>さかつぼ</rt></ruby>を持って来い、

水のほとりの青草の茂みのあたり。

そら、めぐる車＊は月の<ruby><rb>面</rb><rt>おも</rt></ruby>、花の姿を

くりかえし盃にしたり、また壺にしたり。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">67</span>

昨夜酔うての<ruby><rb>仕業</rb><rt>しわざ</rt></ruby>だったが、

石の<ruby><rb>面</rb><rt>も</rt></ruby>に素焼の壺を投げつけた。

壺は無言の言葉で行った――

お前もそんなにされるのだ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">68</span>

なんでけがれ＊がある、この<ruby><rb>酒甕</rb><rt>さけがめ</rt></ruby>に？

盃にうつしてのんで、おれにもよこせ、

さあ、若人よ、この旅路のはてで

われわれが酒甕とならないうちに。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（69）</span>

昨日壺をつくる所へ立ちよったら、

壺つくりは土をこねてしきりに腕をふるっていた。

盲の人は気もつかなかったろう、しかし

その手の中におれは<ruby><rb>亡</rb><rt>な</rt></ruby>き人の土を見た。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（70）</span>

壺つくりよ、心あるならその手を休めよ、

尊い土に無礼なことはやめよ！

ファレイドゥーン＊の指やケイホスロウ＊の<ruby><rb>掌</rb><rt>てのひら</rt></ruby>を

ろくろに取ってどうしようてんだよ？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">71</span>

壺つくりの仕事場へ来て見れば、

壺つくり朗らかにろくろをまわしては、

みかどの首もこじきの足もごっちゃに、

手に取ってつくるは壺の首と足だ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">72</span>

この壺も、おれと同じ、人を<ruby><rb>恋</rb><rt>こ</rt></ruby>う嘆きの姿、

黒髪に身を捕われの境涯か。

この壺に手がある、これこそはいつの日か

よき人の肩にかかった腕なのだ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">73</span>

壺つくりの仕事場に<ruby><rb>昨日</rb><rt>きのう</rt></ruby>よって見ると、

千も二千もの<ruby><rb>土器</rb><rt>かわらけ</rt></ruby>がならべてあったよ。

そのおのおのが声なき言葉でおれにきくよう――

壺つくり、売り手、買い手は誰なのかと。

  


ままよ、どうあろうと

  


<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">74</span>

マギイ＊の酒に酔うたとならば、<ruby><rb>正</rb><rt>まさ</rt></ruby>にそうさ。

<ruby><rb>異端</rb><rt>いたん</rt></ruby><ruby><rb>邪教</rb><rt>じゃきょう</rt></ruby>の徒というならば、正にそうさ。

しかしわがふるまいを人がどんなにけなしたとて、

われはどうなりもしない、相変らずのものさ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">75</span>

わが宗旨はうんと酒のんでたのしむこと、

わが信条は正信と邪教の争いをはなれること。

久遠の花嫁＊に欲しい形見は何かときいたら、

答えて言ったよ――君が心のよろこびをと。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">76</span>

身の内に酒がなくては生きておれぬ、

<ruby><rb>葡萄酒</rb><rt>ぶどうしゅ</rt></ruby>なくては身の重さにも堪えられぬ。

<ruby><rb>酒姫</rb><rt>サーキイ</rt></ruby>がもう<ruby><rb>一杯</rb><rt>いっぱい</rt></ruby>と差し出す瞬間の

われは<ruby><rb>奴隷</rb><rt>どれい</rt></ruby>だ、それが忘れられぬ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">77</span>

<ruby><rb>今宵</rb><rt>こよい</rt></ruby>またあの酒壺を取り出してのう、

そこばくの酒に心を富ましめよう。

信仰や理知の<ruby><rb>束縛</rb><rt>きずな</rt></ruby>を解き放ってのう、

葡萄樹の娘＊を一夜の妻としよう。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（78）</span>

死んだらおれの<ruby><rb>屍</rb><rt>しかばね</rt></ruby>は<ruby><rb>野辺</rb><rt>のべ</rt></ruby>にすてて、

<ruby><rb>美酒</rb><rt>うまざけ</rt></ruby>を墓場の土にふりそそいで。

白骨が土と化したらその土から

<ruby><rb>瓦</rb><rt>かわら</rt></ruby>を焼いて、あの<ruby><rb>酒甕</rb><rt>さかがめ</rt></ruby>の<ruby><rb>蓋</rb><rt>ふた</rt></ruby>にして。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（79）</span>

死んだら<ruby><rb>湯灌</rb><rt>ゆかん</rt></ruby>は酒でしてくれ、

野の送りにもかけて欲しい<ruby><rb>美酒</rb><rt>うまざけ</rt></ruby>。

もし復活の日ともなり会いたい人は、

酒場の戸口にやって来ておれを待て。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（80）</span>

墓の中から酒の香が立ちのぼるほど、

そして墓場へやって来る酒のみがあっても

その香に<ruby><rb>酔</rb><rt>よ</rt></ruby>い<ruby><rb>痴</rb><rt>し</rt></ruby>れて倒れるほど、

ああ、そんなにも酒をのみたいもの！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">81</span>

尊い命の芽を摘みとられる日、

身体の各部がちりぢりに分れる日、

その土でもし壺を焼いたら、さっそく

酒をついでよ、息を吹きかえすに。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（82）</span>

命の幹が根を掘られて、

死の足もとにうなじをたれよう日、

身の土だけは必ず酒の器に焼いてくれ、

しばらくは息をつこう、酒の香に。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（83）</span>

<ruby><rb>愛</rb><rt>いと</rt></ruby>しい友よ、いつかまた相会うことがあってくれ、

<ruby><rb>酌</rb><rt>く</rt></ruby>み<ruby><rb>交</rb><rt>か</rt></ruby>わす酒にはおれを<ruby><rb>偲</rb><rt>しの</rt></ruby>んでくれ。

おれのいた座にもし<ruby><rb>盃</rb><rt>さかずき</rt></ruby>がめぐって来たら、

地に傾けてその酒をおれに<ruby><rb>注</rb><rt>そそ</rt></ruby>いでくれ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（84）</span>

あのしかつめらしい<ruby><rb>分別</rb><rt>ふんべつ</rt></ruby>のとりことなった

人たちは、あるなしの嘆きの中にむなしく去った。

気をつけて早く、はやく葡萄の古酒を<ruby><rb>酌</rb><rt>く</rt></ruby>め、

愚か者らはまだ<ruby><rb>熟</rb><rt>う</rt></ruby>れぬまに房を摘まれた。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（85）</span>

<ruby><rb>法官</rb><rt>ムフテイ</rt></ruby>よ、マギイの酒にこれほど酔っても

おれの心はなおたしかだよ、君よりも。

君は人の血、おれは葡萄の<ruby><rb>血汐</rb><rt>ちしお</rt></ruby>を吸う、

吸血の罪はどちらか、裁けよ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（86）</span>

或る<ruby><rb>淫</rb><rt>たわ</rt></ruby>れ<ruby><rb>女</rb><rt>め</rt></ruby>に<ruby><rb>教長</rb><rt>シャイク</rt></ruby>＊の言葉――気でも触れたか、

いつもそう違った人となぜ交わるか？

答えに――<ruby><rb>教長</rb><rt>シャイク</rt></ruby>よ、わたしはお言葉のとおりでも、

あなたの口と<ruby><rb>行</rb><rt>おこな</rt></ruby>いは同じでしょうか？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（87）</span>

恋する者と酒のみは地獄に行くと言う、

根も葉もない<ruby><rb>囈言</rb><rt>たわごと</rt></ruby>にしかすぎぬ。

恋する者や酒のみが地獄に落ちたら、

天国は人影もなくさびれよう！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">88</span>

天国にはそんなに美しい天女がいるのか？

酒の泉や<ruby><rb>蜜</rb><rt>みつ</rt></ruby>の池があふれてるというのか？

この世の恋と<ruby><rb>美酒</rb><rt>うまざけ</rt></ruby>を選んだわれらに、

天国もやっぱりそんなものにすぎないのか？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（89）</span>

天女のいるコーサル河＊のほとりには、

蜜、香乳と、酒があふれているそうな。

だが、おれは今ある酒の一杯を手に選ぶ、

現物はよろずの約にまさるから。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（90）</span>

エデンの<ruby><rb>園</rb><rt>その</rt></ruby>が天女の顔でたのしいなら、

おれの心は葡萄の液でたのしいのだ。

現物をとれ、あの世の約束に手を出すな、

遠くきく<ruby><rb>太鼓</rb><rt>たいこ</rt></ruby>はすべて音がよいのだ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">91</span>

なにびとも楽土や<ruby><rb>煉獄</rb><rt>れんごく</rt></ruby>を見ていない、

あの世から帰ってきたという人はない。

われらのねがいやおそれもそれではなく、

ただこの命――消えて名前しかとどめない！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（92）</span>

おれは天国の住人なのか、それとも

地獄に落ちる身なのか、わからぬ。

草の上の盃と花の乙女と長琴さえあれば、

この現物と引き替えに天国は君にやるよ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">93</span>

この世に永久にとどまるわれらじゃないぞ、

<ruby><rb>愛</rb><rt>いと</rt></ruby>しい人や<ruby><rb>美酒</rb><rt>うまざけ</rt></ruby>をとり上げるとは罪だぞ。

いつまで旧慣にとらわれているのか、賢者よ？

自分が去ってからの世に何の旧慣があろうぞ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">94</span>

はじめから自由意志でここへ来たのでない。

あてどなく立ち去るのも自分の心でない。

<ruby><rb>酒姫</rb><rt>サーキイ</rt></ruby>よ、さあ、早く起きて仕度をなさい、

この世の憂いを<ruby><rb>生</rb><rt>き</rt></ruby>の酒で洗いなさい。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">95</span>

バグダード＊でも、バルク＊でも、命はつきる。

酒が甘かろうと、苦かろうと、盃は満ちる。

たのしむがいい、おれと君と立ち去ってからも、

月は無限に<ruby><rb>朔望</rb><rt>さくぼう</rt></ruby>をかけめぐる！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（96）</span>

選ぶならば、酒場の<ruby><rb>舞い男</rb><rt>カランダール</rt></ruby>＊の道がよい。

酒と楽の音と恋人と、そのほかには何もない！

手には酒盃、肩には<ruby><rb>瓶子</rb><rt>へいし</rt></ruby>ひとすじに

酒をのめ、君、つまらぬことを言わぬがよい。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（97）</span>

<ruby><rb>酒姫</rb><rt>サーキイ</rt></ruby>よ、寄る年の憂いの波にさらわれてしまった、

おれの酔いは程度を越してしまった。

だがつもる<ruby><rb>齢</rb><rt>よわい</rt></ruby>の<ruby><rb>盃</rb><rt>つき</rt></ruby>になお君の酒をよろこぶのは、

頭に霜をいただいても心に春の風が吹くから。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（98）</span>

一壺の<ruby><rb>紅</rb><rt>あけ</rt></ruby>の酒、一巻の歌さえあれば、

それにただ命をつなぐ<ruby><rb>糧</rb><rt>かて</rt></ruby>さえあれば、

君とともにたとえ<ruby><rb>荒屋</rb><rt>あばらや</rt></ruby>に住まおうとも、

心は<ruby><rb>王侯</rb><rt>スルタン</rt></ruby>の栄華にまさるたのしさ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">99</span>

おれは有と無の<ruby><rb>現象</rb><rt>あらわれ</rt></ruby>を知った。

またかぎりない変転の<ruby><rb>本質</rb><rt>もと</rt></ruby>を知った。

しかもそのさかしさのすべてをさげすむ、

酔いの<ruby><rb>彼方</rb><rt>かなた</rt></ruby>にはそれ以上の境地があった。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">100</span>

<ruby><rb>酒姫</rb><rt>サーキイ</rt></ruby>の心づくしでとりとめたおれの命、

今はむなしく創世の論議も解けず、

昨夜の酒も余すところわずかに一杯、

さてあとはいつまでつづく？　おれの命！

  


むなしさよ

  


<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">101</span>

九重の空のひろがりは虚無だ！

地の上の形もすべて虚無だ！

たのしもうよ、生滅の宿にいる身だ、

ああ、一瞬のこの命とて虚無だ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">102</span>

時の中で何を見ようと、何を聞こうと、

また何を言おうと、みんな<ruby><rb>無駄</rb><rt>むだ</rt></ruby>なこと。

野に出でて地平のきわみを<ruby><rb>駈</rb><rt>か</rt></ruby>けめぐろうと、

家にいて想いにふけろうと無駄なこと。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">103</span>

世の中が思いのままに動いたとてなんになろう？

命の書を読みつくしたとてなんになろう？

心のままに百年を生きていたとて、

<ruby><rb>更</rb><rt>さら</rt></ruby>に百年を生きていたとてなんになろう？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（104）</span>

地の青馬にうち<ruby><rb>跨</rb><rt>またが</rt></ruby>っている<ruby><rb>酔漢</rb><rt>よいどれ</rt></ruby>を見たか？

邪宗も、イスラム＊も、まして信仰や戒律どころか、

神も、真理も、世の中も眼中にないありさま、

二つの世にかけてこれ以上の勇者があったか？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">105</span>

<ruby><rb>戸惑</rb><rt>とまど</rt></ruby>うわれらをのせてめぐる宇宙は、

たとえてみれば幻の走馬燈だ。

日の<ruby><rb>燈火</rb><rt>ともしび</rt></ruby>を中にしてめぐるは空の輪台、

われらはその上を走りすぎる影絵だ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">106</span>

ないものにも<ruby><rb>掌</rb><rt>て</rt></ruby>の中の風があり、

あるものには崩壊と不足しかない。

ないかと思えば、すべてのものがあり、

あるかと見れば、すべてのものがない。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">107</span>

世に生れて来た<ruby><rb>効果</rb><rt>しるし</rt></ruby>に何があるか？

生きた生命の結果として何が残るか？

饗宴の<ruby><rb>燭</rb><rt>ともしび</rt></ruby>となってもやがて消えはて、

ジャムの酒盃＊となってもやがては砕ける。

  


<ruby><rb>一瞬</rb><rt>ひととき</rt></ruby>をいかせ

  


<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">108</span>

迷いの門から正信までは、ただの<ruby><rb>一瞬</rb><rt>ひととき</rt></ruby>、

懐疑の中から悟りに入るまでもただの一瞬。

かくも尊い一瞬をたのしくしよう、

命の<ruby><rb>実効</rb><rt>しるし</rt></ruby>はわずかにこの一瞬。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">109</span>

たのしくすごせ、ただひとときの命を。

<ruby><rb>一片</rb><rt>ひとかけ</rt></ruby>の<ruby><rb>土塊</rb><rt>つちくれ</rt></ruby>もケイコバードやジャムだよ。

世の現象も、人の命も、けっきょく

つかのまの夢よ、錯覚よ、幻よ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">110</span>

大空に月と日が姿を現わしてこのかた

<ruby><rb>紅</rb><rt>くれない</rt></ruby>の<ruby><rb>美酒</rb><rt>うまざけ</rt></ruby>にまさるものはなかった。

腑に落ちないのは酒を売る人々のこと、

このよきものを売って何に替えようとか？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">111</span>

月の光に夜は衣の<ruby><rb>裾</rb><rt>すそ</rt></ruby>をからげた。

酒をのむにまさるたのしい<ruby><rb>瞬間</rb><rt>とき</rt></ruby>があろうか？

たのしもう！　何をくよくよ？　いつの日か月の光は

墓場の石を一つずつ照らすだろうさ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">112</span>

あすの日が誰にいったい保証出来よう？

哀れな胸を今この時こそたのしくしよう。

月の君＊よ、さあ、月の下で酒をのもう、

われらは行くし、月はかぎりなくめぐって来よう！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">113</span>

あわれ、人の世の<ruby><rb>旅隊</rb><rt>キャラヴァン</rt></ruby>は過ぎて行くよ。

この<ruby><rb>一瞬</rb><rt>ひととき</rt></ruby>をわがものとしてたのしもうよ。

あしたのことなんか何を心配するのか？　<ruby><rb>酒姫</rb><rt>サーキイ</rt></ruby>よ！

さあ、早く酒盃を持て、<ruby><rb>今宵</rb><rt>こよい</rt></ruby>も過ぎて行くよ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">114</span>

東の空の白むとき<ruby><rb>何故</rb><rt>なぜ</rt></ruby><ruby><rb>雞</rb><rt>にわとり</rt></ruby>が

声を上げて騒ぐかを知っているか？

朝の鏡に夜の命のうしろ姿が

映っても知らない君に告げようとさ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">115</span>

夜は明けた、起きようよ、ねえ<ruby><rb>酒姫</rb><rt>サーキイ</rt></ruby>

酒をのみ、琴を弾け、静かに、しずかに！

相宿の客は一人も目がさめぬよう、

立ち去った客もかえって来ぬように！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">116</span>

わが心の偶像よ、さあ、朝だ、

酒を持て、琴をつまびき、うたえ歌。

千万のジャムシードやケイホスロウら

夏が来て冬が行くまに土の中！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">117</span>

朝の<ruby><rb>一瞬</rb><rt>ひととき</rt></ruby>を<ruby><rb>紅</rb><rt>くれない</rt></ruby>の酒にすごそう、

恥や外聞の醜い殻を石に打とう。

<ruby><rb>甲斐</rb><rt>かい</rt></ruby>のないそらだのみからさっさと手を引き、

丈なす髪と琴の上にその手を置こう。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">118</span>

こころよい<ruby><rb>日和</rb><rt>ひより</rt></ruby>、寒くなく、暑くない。

空に雲　花の面の<ruby><rb>埃</rb><rt>ほこり</rt></ruby>を流し、

<ruby><rb>薔薇</rb><rt>ばら</rt></ruby>に浮かれた<ruby><rb>鶯</rb><rt>うぐいす</rt></ruby>はパㇵラヴイ語＊で、

酒のめと声ふりしぼることしきり。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">119</span>

花のころ、水のほとりの草の上で、

おれの手をとるこの世の天女二、三人。

世の<ruby><rb>煩</rb><rt>わずら</rt></ruby>いも天国ののぞみもよそに、

<ruby><rb>盃</rb><rt>さかずき</rt></ruby>にさても満たそう、朝の酒！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">120</span>

はなびらに<ruby><rb>新春</rb><rt>ノールーズ</rt></ruby>の風はたのしく、

草原の花の乙女の顔もたのしく、

過ぎ去ったことを思うのはたのしくない。

過去をすて、今日この日だけすごせ、たのしく。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">121</span>

草は生え、花も開いた、<ruby><rb>酒姫</rb><rt>サーキイ</rt></ruby>よ

七、八日地にしくまでにたのしめよ。

酒をのみ、花を<ruby><rb>手折</rb><rt>たお</rt></ruby>れよ、遠慮せば

花も散り、草も枯れよう、早くせよ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">122</span>

<ruby><rb>新春</rb><rt>ノールーズ</rt></ruby>にはチューリップの<ruby><rb>盃</rb><rt>はい</rt></ruby>上げて、

チューリップの<ruby><rb>乙女</rb><rt>おとめ</rt></ruby>の酒に酔え。

どうせいつかは天の車が

土に踏み敷く身と思え。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">123</span>

<ruby><rb>菫</rb><rt>すみれ</rt></ruby>は衣を色にそめ、薔薇の<ruby><rb>袂</rb><rt>たもと</rt></ruby>に

そよかぜが妙なる楽を奏でるとき、

もし心ある人ならば、玉の乙女と酒をくみ、

その盃を破るだろうよ、石の<ruby><rb>面</rb><rt>も</rt></ruby>に。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">124</span>

さあ、起きて、嘆くなよ、君、行く世の悲しみを。

たのしみのうちにすごそう、<ruby><rb>一瞬</rb><rt>ひととき</rt></ruby>を。

世にたとえ信義というものがあろうとも、

君の番が来るのはいつか<ruby><rb>判</rb><rt>わか</rt></ruby>らぬぞ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">125</span>

大空の<ruby><rb>極</rb><rt>きわみ</rt></ruby>はどこにあるのか見えない。

酒をのめ、<ruby><rb>天</rb><rt>そら</rt></ruby>のめぐりは心につらい。

嘆くなよ、お前の番がめぐって来ても、

星の<ruby><rb>下</rb><rt>もと</rt></ruby>誰にも一度はめぐるその<ruby><rb>盃</rb><rt>はい</rt></ruby>。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">126</span>

学問のことはすっかりあきらめ、

ひたすらに愛する者の<ruby><rb>捲毛</rb><rt>まきげ</rt></ruby>にすがれ。

日のめぐりがお前の血汐を流さぬまに

お前は<ruby><rb>盃</rb><rt>はい</rt></ruby>に<ruby><rb>葡萄</rb><rt>ぶどう</rt></ruby>の血汐を流せ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">127</span>

人生はその日その夜を嘆きのうちに

すごすような人にはもったいない。

君の器が砕けて土に散らぬまえに、

君は器の酒のめよ、琴のしらべに！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（128）</span>

春が来て、冬がすぎては、いつのまにか

人生の絵巻はむなしくとじてしまった。

酒をのみ、悲しむな。悲しみは心の毒、

それを解く薬は酒と、古人も説いた。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">129</span>

お前の名がこの世から消えないうちに

酒をのめ、酒が胸に入れば悲しみは去る。

女神の<ruby><rb>鬢</rb><rt>びん</rt></ruby>の束また束を解きほぐせ、

お前の身が<ruby><rb>節々</rb><rt>ふしぶし</rt></ruby>解けて散らないうちに。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（130）</span>

さあ、一緒にあすの日の悲しみを忘れよう、

ただ<ruby><rb>一瞬</rb><rt>ひととき</rt></ruby>のこの人生をとらえよう。

あしたこの古びた修道院を出て行ったら、

七千年前の旅人と<ruby><rb>道伴</rb><rt>みちづ</rt></ruby>れになろう。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（131）</span>

胸をたたけ、ああ、よるべない大空の下、

酒をのめ、ああ、はかない世の中。

土から生れて土に入るのか、いっそのこと、

土の上でなくて中にあるものと思おう。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">132</span>

心はたぎる、早くこの手に酒をくれ！

命、いのち、銀露のようにたばしる！

とらえないと青春の火も水となる。

さあ、早く物にくらんだ目をさませ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">133</span>

酒をのめ、それこそ永遠の生命だ、

また青春の<ruby><rb>唯一</rb><rt>ゆいつ</rt></ruby>の<ruby><rb>効果</rb><rt>しるし</rt></ruby>だ。

花と酒、君も浮かれる春の季節に、

たのしめ<ruby><rb>一瞬</rb><rt>ひととき</rt></ruby>を、それこそ真の人生だ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">134</span>

酒をのめ、マㇵムード＊の栄華はこれ。

琴をきけ、ダヴィデ＊の歌のしらべはこれ。

さきのこと、過ぎたことは、みな忘れよう

今さえたのしければよい――人生の目的はそれ。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">135</span>

あしたのことは誰にだってわからない、

あしたのことを考えるのは<ruby><rb>憂鬱</rb><rt>ゆううつ</rt></ruby>なだけ。

気がたしかならこの<ruby><rb>一瞬</rb><rt>ひととき</rt></ruby>を<ruby><rb>無駄</rb><rt>むだ</rt></ruby>にするな、

二度とかえらぬ命、だがもうのこりは少い。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">（136）</span>

時のめぐりも酒や<ruby><rb>酒姫</rb><rt>サーキイ</rt></ruby>がなくては無だ、

イラク＊の笛も<ruby><rb>節</rb><rt>ふし</rt></ruby>がなくては無だ。

つくずく世のありさまをながめると、

生れた<ruby><rb>得</rb><rt>とく</rt></ruby>はたのしみだけ、そのほかは無だ！

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">137</span>

いつまで有る無しのわずらいになやんでおれよう？

短い命をたのしむに何をためらう？

酒盃に酒をつげ、この胸に吸い込む息が

出て来るものかどうか、誰に判ろう？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">138</span>

<ruby><rb>仰向</rb><rt>あおむ</rt></ruby>けにねて胸に両手を合わさぬうち＊、

はこぶなよ、たのしみの足を悲しみへ。

夜のあけぬまに起きてこの世の息を吸え、

夜はくりかえしあけても、息はつづくまい。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">139</span>

永遠の命ほしさにむさぼるごとく

冷い<ruby><rb>土器</rb><rt>かわらけ</rt></ruby>に<ruby><rb>唇</rb><rt>くち</rt></ruby>触れてみる。

<ruby><rb>土器</rb><rt>かわらけ</rt></ruby>は<ruby><rb>唇</rb><rt>くち</rt></ruby>かえし、<ruby><rb>謎</rb><rt>なぞ</rt></ruby>の言葉で――

酒をのめ、二度とかえらぬ世の中だと。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">140</span>

さあ、ハイヤームよ、酒に酔って、

チューリップのような美女によろこべ。

世の終局は虚無に帰する。

よろこべ、ない<ruby><rb>筈</rb><rt>はず</rt></ruby>のものがあると思って。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">141</span>

もうわずらわしい学問はすてよう、

白髪の身のなぐさめに酒をのもう。

つみ重ねて来た七十の<ruby><rb>齢</rb><rt>よわい</rt></ruby>の<ruby><rb>盃</rb><rt>つき</rt></ruby>を

今この<ruby><rb>瞬間</rb><rt>とき</rt></ruby>でなくいつの日にたのしみ得よう？

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">142</span>

めぐる宇宙は廃物となったわれらの<ruby><rb>体躯</rb><rt>からだ</rt></ruby>、

ジェイホンの流れ＊は人々の涙の跡、

地獄というのは<ruby><rb>甲斐</rb><rt>かい</rt></ruby>もない悩みの火で、

極楽はこころよく過ごした<ruby><rb>一瞬</rb><rt>ひととき</rt></ruby>。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">143</span>

いつまで一生をうぬぼれておれよう、

有る無しの論議になどふけっておれよう？

酒をのめ、こう悲しみの多い人生は

眠るか酔うかしてすごしたがよかろう！

  


註

番号

４　知者――全智の神。

６　水の上に瓦を積む――意味のない妄想にふけること。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">12</span>　「世の燈明」――神学者に<ruby><rb>奉</rb><rt>たてまつ</rt></ruby>られた尊号。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">13</span>　酒姫――酒の<ruby><rb>酌</rb><rt>しゃく</rt></ruby>をする<ruby><rb>侍者</rb><rt>じしゃ</rt></ruby>。それは普通は女でなくて紅顔の美少年で、よく同性愛の対象とされた。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">15</span>　大地を担う牛――イラン人は地球は円いものではなく、大海の中の大魚の上に<ruby><rb>跨</rb><rt>またが</rt></ruby>る大牛の背中にのっているものと考えていた。そして太陽は地球の周囲を廻転するものと考えられていた。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">26</span>　人の所業を書き入れる筆もくたびれて――イスラム教徒の信仰によると、創世の日に神の筆がすべての天命を神の書に記入し、また日ごろ人間の善業悪業をもいちいち記入して裁きの日に備えるといわれている。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">29</span>　七と四――七天と四元素。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">31</span>　礼堂――イスラム教徒の礼拝の場所。

〃　火殿――拝火教の聖火奉安所。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">32</span>　筆のはこび――宿命。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">39</span>　尊い宝――宝石とそして尊い人の骨と。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">53</span>　ジャムシード――詩人フェルドゥシイの集成したイランの国民史詩『シャーナーメ』に伝わる帝王の名。「ジャムシード」は「日の王」を意味する。

〃　バㇵラーム――ササン王朝（二二六－六四二年）のバㇵラーム五世のこと。在位は四二〇－四三八年。夫人を伴って<ruby><rb>野驢</rb><rt>グール</rt></ruby>を狩りしたことで有名。バㇵラーム・グールと<ruby><rb>綽名</rb><rt>あだな</rt></ruby>された。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">55</span>　ケイカーウス――神話時代のイランの第二王朝であるケイアニイ朝第二世の帝王で、太祖ケイコバードの子。

〃　鈴の音――古代イランでは、帝王の<ruby><rb>出御</rb><rt>しゅつぎょ</rt></ruby>するときに鈴を振り、<ruby><rb>太鼓</rb><rt>たいこ</rt></ruby>を鳴らす習慣があった。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">59</span>　パルヴィーズ――ササン王朝の帝王ホスロウ・パルヴィーズ（五九〇－六二八年）。

〃　ケイコバード――神話時代のイランの第二王朝ケイアニイ朝を開いた。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">62</span>　新春――イランには古くから一種の太陽暦が行われ、春分の日、すなわち春の彼岸が一年のはじめとなっている。この日は新年としてまた春の祭として祝われる。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">66</span>　めぐる車――天体の運行を陶器師のろくろにたとえたもの。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">68</span>　けがれ――イスラム教は酒をけがれあるものとして禁じている。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">70</span>　ファレイドゥーン――かつてのピシダーデイ王朝の<ruby><rb>末裔</rb><rt>まつえい</rt></ruby>としてイランを再興したと伝えられる勇士。

〃　ケイホスロウ――ケイアニイ王朝中興の英主。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">74</span>　マギイ――拝火教の司祭。イスラム教以前のイランの宗教は拝火教であった。しかしそれはイスラム教徒にイランが征服されてから後は邪教として<ruby><rb>擯斥</rb><rt>ひんせき</rt></ruby>された。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">75</span>　久遠の花嫁――自然、人生。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">77</span>　葡萄樹の娘――葡萄の実からとった酒。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">86</span>　教長――学識経験のすぐれたイスラム教徒の指導的な人物。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">89</span>　コーサル河――イスラム教徒の死後の天国にあるといわれる川の名。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">95</span>　バグダード――アッバス朝時代（七四九－一二五八年）のカリフの首都、当時イスラム文化の中心地であった。のちイラクの首府。

〃　バルク――現在は北アフガニスタンの小都であるが、古代にはバクトリアの都として、また中世にはブハラやネイシャプールと並ぶ東ペルシアの中心地の一つとして文化の栄えた所。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">96</span>　舞い男――イスラム教の教団の一つに歓喜して踊り狂うことによって神との合一の<ruby><rb>三昧境</rb><rt>さんまいきょう</rt></ruby>を現出しようとするのがあるが、この教団に属する修道者がカランダールである。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">104</span>　イスラム――回教とも言う。マホメットのはじめた宗教。唯一神アッラーを信じ、日に五回の礼拝を行い、斎戒をし、喜捨を寄せ、メッカへの巡礼をするイスラム教徒は、イスラムを唯一の正信と信じ、その他の宗教をすべて邪信と見ている。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">107</span>　ジャムの酒盃――ジャムシード王の七輪の杯。七天、七星、七海などに<ruby><rb>象</rb><rt>かたど</rt></ruby>った七つの輪を有し、世の中の出来事はことごとくこれに映して見ることができたといわれる。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">112</span>　月の君――愛人を月になぞらえて呼んだ愛称。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">118</span>　パㇵラヴイ語――中世ペルシア語。イランがアラビア人に征服される以前、三世紀から七世紀にかけてササン王朝時代に用いられていた言葉で、その後上層階級には忘れ去られ、わずかに下層の国民大衆の間に語りつがれていた。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">134</span>　マㇵムード――ガズニ王朝（九七七－一一八六年）の英主スルタン・マㇵムード（九九八－一〇三〇年）。インドを侵略して<ruby><rb>数多</rb><rt>あまた</rt></ruby>の財宝を<ruby><rb>掠取</rb><rt>りゃくしゅ</rt></ruby>した。

〃　ダヴィデ――聖書に見えるイスラエルの王で『詩篇』の作者。イスラム教徒は彼を美声の歌手の典型と考えている。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">136</span>　イラク――メソポタミアとイランの一部を含む地方。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">138</span>　胸に両手を合わす――永眠すること。

<span data-tei-rend="text-combine-upright" style="text-combine-upright: all">142</span>　ジェイホンの流れ――オクサス河。アムダリアとも言う。