黄昏時を四五分すぎたあと、
薄闇を縫ふて、紅い々々燈の華が、
冬咲きの仏相花のやうにちらつく。
昔の栄華を夢見る古るい街、
傾むいた軒を並べて、
底深く静まりかへる。
蔦の生へた石垣からは、
亡びの色調を帯びた虫の歌。また、
たく〲と流れる溝のなげかひ。
私は古るい街の巷に迷ひこんだ、
何処かへ逃げ道を見出さうとした、
古るい街は逃すまいと抱きつく。
私と亡びゆく古るい街、
その間に永い哀情が横たへ、
深かい〱闇に沈んでゆく。
ふるまち
漢那 浪笛
黄昏時を四五分すぎたあと、
薄闇を縫ふて、紅い々々燈の華が、
冬咲きの仏相花のやうにちらつく。
昔の栄華を夢見る古るい街、
傾むいた軒を並べて、
底深く静まりかへる。
蔦の生へた石垣からは、
亡びの色調を帯びた虫の歌。また、
たく〲と流れる溝のなげかひ。
私は古るい街の巷に迷ひこんだ、
何処かへ逃げ道を見出さうとした、
古るい街は逃すまいと抱きつく。
私と亡びゆく古るい街、
その間に永い哀情が横たへ、
深かい〱闇に沈んでゆく。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c漢那 浪笛「古街」(新字旧仮名)、底本『沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ』国書刊行会、1991年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 001744_001666, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079