若夏の入江の西に、
萎ゆる帆を静かにたゝみ、
大船の錨なぐるや、
波止場には、吾かなつかしき
南国の男女のあまた、
すゝみよる、艀むかへぬ。
艀より人力車にうつり、
石原を、左右にゆれて、
店先の軒をたどれば、
かけつるす芭蕉実のかをり
夏風にゆる〱薫じて、
故郷は夢にさながら。
父母や妹をしのび、
過ぎゆけば、榕樹しげれる、
門に着き――涙こぼれぬ。
きせい
漢那 浪笛
若夏の入江の西に、
萎ゆる帆を静かにたゝみ、
大船の錨なぐるや、
波止場には、吾かなつかしき
南国の男女のあまた、
すゝみよる、艀むかへぬ。
艀より人力車にうつり、
石原を、左右にゆれて、
店先の軒をたどれば、
かけつるす芭蕉実のかをり
夏風にゆる〱薫じて、
故郷は夢にさながら。
父母や妹をしのび、
過ぎゆけば、榕樹しげれる、
門に着き――涙こぼれぬ。
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913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c漢那 浪笛「帰省」(新字旧仮名)、底本『沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ』国書刊行会、1991年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 001414_001666, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079