Soranoha

かの日の歌【五】

かのひのうた【五】

漢那 浪笛

◉

気味わるき、

十二月の、ひねもす。

そとには、おやみなくそゝぐ雨、

軒端にみだらなる、なげかひ………

苦るしまぎれに煙草をすふ。

音なき浪――けむりのなかに、

うす暗き人生は、哀れ寂さびしく!

かゝみて――渦まく。

時々未練、眼をかする、

覚束なき恋のたはむれ!

力なく趁ふては、きゆる、

あはれ十二月の室内のひねもす。

◉

陰鬱な空気 と□(不明)す、

あおこけむす、きみ悪き墓場!

何者か深い〱底より、

吐息をもらす。

葬式おくりの白き花

しとしとと雨□(不明)濡れて伏す。

すてやりの孤独のいのちは、

黒蝶のごとく、その□(不明)を朦ろなるさ迷ひ

◉

棕梠の葉のうすあかり、

郊外の空に、雲のひときれ、

十二時の鐘は、静かにうたふ。

あかき襦袢じゆばん着かへし、少女の肌の如く

顔に触るゝ空気のかなしさ………

ラリアはあへかに笑ふ――

色みな恋 音楽!

底本 / Source edition

底本:「沖縄文学全集 第1巻 詩※[#ローマ数字1、1-13-21]」国書刊行会
1991(平成3)年6月6日第1刷
初出:「琉球新報」
1911(明治44)年12月24日
※初出時の署名は「浪笛生」です。
入力:坂本真一
校正:良本典代
2016年12月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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リリース / Release
913b24012e1626b47bebf5a14fd31773728229efdb088f1ceb934717c1ac800c
TEI
/works/001390_001666/tei
プレーンテキスト / Plain text
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書誌 / Bibliography
/works/001390_001666/

漢那 浪笛「かの日の歌【五】」(新字旧仮名)、底本『沖縄文学全集 第1巻 詩Ⅰ』国書刊行会、1991年。Soranoha Aozora Bunko TEI Corpus, 001390_001666, release 913b24012e16. https://doi.org/10.5281/zenodo.22718079

引用のしかた / How to cite