かなしみではなかつた日のながれる雲の下に
僕はあなたの口にする言葉をおぼえた、
それはひとつの花の名であつた
それは黄いろの淡いあはい花だつた、
僕はなんにも知つてはゐなかつた
なにかを知りたく　うつとりしてゐた、
そしてときどき思ふのだが　一体なにを
だれを待つてゐるのだらうかと。
昨日の風は鳴つてゐた、林を透いた青空に
かうばしい　さびしい光のまんなかに
あの叢に咲いてゐた、そうしてけふもその花は
思ひなしだか　悔ゐのやうに――。
しかし僕は老いすぎた　若い身空で
あなたを悔ゐなく去らせたほどに！