　電信柱が寒い風にあたってピーピーと泣いておりました。
　黒い雲が来て、
「何を泣いているのだえ」
「寒いからさ。お前のような雲が来るから寒いのだ。こちらへ来ないでくれ」
「おれが悪いのじゃない。風がわるいのだ。おれは風につれられて来るのだから」
「おれは黒いものが大嫌いだ。この間も鴉がとまって、アホーアホーとおれを笑った」
「それじゃこれはどうだ」
　と言ううちに白い雪をチラチラと降らしました。
　電柱はだまってしまいました。