妹よ　あの跫音は何であらう
喪はれた美しい日々の歌声ではない
今日も夕暮近い霙の中を通つてよ
怖ろしい鴉の黒い群であらうか
散薬の重いしめりに病み呆けた
わたしの胸にやつて来て
わたしの肋骨をこつこつとたたく
何であらう
妹よ　お前さへ居ない此の部屋を
こつこつとたたくのは
いつたい何であらう
霙のやうに冷たい死の掌か――
霙のふる夕暮は
霙のふる夕暮に似て
さびしい私の若さ・いのちであるのだ
妹よ