　そらのふちは沈んで行き、松の並木のはてばかり黝んだ琥珀をさびしくくゆらし、
　その町のはづれのたそがれに、大きなひのきが風に乱れてゆれてゐる。気圏の松藻だ、ひのきの髪毛。
　まっ黒な家の中には黄いろなラムプがぼんやり点いて顔のまっかな若い女がひとりでせわしく飯をかきこんでゐる。
　かきこんでゐる。その澱粉の灰色。
　ラムプのあかりに暗の中から引きずり出された梢の緑、
　実に恐ろしく青く見える。恐ろしく深く見える。恐ろしくゆらいで見える。