生と死の路は今自分の行手にあり
自分はこの全き方向のちがった路の
何れを歩んでいるかを知らない
歩む路は一すじ
ただこの一すじが
生命の歓喜へ向っているか
また永遠の死へ辿っているか
自分にも解き得ざる謎
謎の日は今、日毎つづきつつある
だが博士は言った
「半年か一年か保証は出来ないがね」
ここで自分の歩む路は死だと予断されている
も一人の博士はただ眉をひそめて
「生死の問題よりも苦痛よりのがれる方法を」と自分の言葉を認めて麻薬で劇薬の注射を与えて去った
又も一人の医師は言う
「もう手おくれだ　どこもかしこも悪い
ただ死は時日の問題だ」
自分はすべての医師に絶望を語られ
お前は死の路を歩むでいるのだと言われてその儘に
自分の生命力が博士達の想像と同一であるとは信じない
信じたくない。
博士達にだって幾月幾日に断定出来ないからだだ
ただ自分の生命は非常に死に近づいている、
死の手に引かれるか
又再び生の力に引上げられるか
あぶなげなわが生命　はかなきわが生命
わが今歩める路は果して何れか
一九三五・五・七