下関でうつた電報から　ひねもす
朝鮮漬のにほひがしてならない
そして　貴公はやつてきた
ムカヘニコナイトマヒゴニナルゾ
そして　貴公はやつてきた
天下大将軍のやうな顔をして
そして　貴公はやつてきた
ぶあつい手を　にゆつとつき出した
そして　私は案内した
天神の鳩に豆をやつた
ふたりの背に　陽ざしがあたたかく
幼年の日が　そこにあつた
そして　私は案内した
とんかつやの　ふるぼけた暖簾をくぐると
ふるさとの淳朴な風俗が
郷愁のやうに　湯気をたてて流れた
そして　貴公は帰つていつた